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(アニメレビュー) CANAAN 第十二話『忌殺劣者』

(アニメレビュー) CANAAN 第十二話『忌殺劣者』


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マリア「違うよ・・・カナン。カナンは私なんかのために命をかけて戦ってくれてるのに――、私には・・・」

物語も最終局面。守るカナン。奪おうとするアルファルド。受け止められないマリア。それぞれが思う光と絶望を胸に列車は走り抜ける。

次回が最終回となり今話で切迫した戦いも幕を閉じようとしてしまいます。カナンは守りぬけられるのか。アルファルドの目的とは。そして――カナンという名の絶望の中で輝く光となるマリアの行方は・・・・・・。

詳しくは続きからどぞ。


▼『CANAAN』レビューは以下より




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カナン「なぜみんな私を責めるんだ・・・。なぜ――死ぬんだ」

親しかったハッコーの死。自分のせいだと罵るアルファルド。そんな声にカナンは初めて"死と血"による人の死を理解します。今まで何人も「蛇」を相手に殺してきたカナンに芽吹いてしまった人の死。恐怖。そして、いつかアルファルドに言われた「絶望」という名を考えるようになるカナン。

そんな中、フラワーガーデンへと足で使った車が動かないということで、御法川は車を処理することと、サンタナの店をどうにかしたいという気持ちがあったため、カナン、マリア、そしてユンユンの3人は列車で帰れと言い現地に残ることに。

「おかしくないものなんてこの世のどこにあるんだ」という実さんの言葉は、サンタナをはじめハッコーや人の死というものを間近で見てきたということを受けての言葉なんですが、人は簡単に死んだり死なせたりという感情から来る素直な今の気持ちを表してるんでしょうね。ジャーナリストとして人死は多少関わってきたかどうかは分かりませんが、サンタナたちのように親しくなった人間の結末、特に今回のような人の手による悲しき結末は無かったのかもしれませんね。実さんの哀愁漂う横顔は色々と悟りながらも受け止め切れない何かを思っているような気がします。



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御法川を現地に残し帰ろうと列車に乗ったマリアたち。しかし、マリアたちが乗る列車が検問を受ける形で停車してしまうのですが、止められた途端にカナンが思い起こすは――シャムと一緒に乗った、シャムの最後となったあの時の記憶。

そんなシャムの姿を思い起こしていると銃声が巻き起こり、カナンはあの時と同じように原因を探ろうと一人離れてしまいます。

これが――運命の分かれ道とも知らずに。


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シャム「俺は、ここで死んだ。だが、"一体誰"に殺されたんだろうな」

止まった列車の先でカナンが見たものは、あの時死んだシャムや、先の戦いで死んでしまったサンタナやハッコーらの姿。亡霊のようなシャムはカナンに語りかけます。「何を持って自分が死んだのか」と。

ここで謎かけのようなシャムの言葉で色々と分かりかけてきたことがあります。それはもちろんシャムが死んだ理由や状況。

亡霊のシャムはカナンは「希有な目のせいで状況をきちんとその目で見ていない」と告げるのですが、実際に亡霊のシャムはそこには居らず、乗客らしき死体があっただけ。

これを考えるに、カナンの共感覚はその場の空気や人の感情にも左右されますが、一番の問題はカナン自身の心の問題にあるんじゃないかと。先の戦いで共感覚が失われたりしたのはもちろん能力を行使しすぎたことにもありますが、一番の原因はアルファルドからの言葉を受け、心が惑わされたり壊れたりしたからに関係がありそうです。

今回のシャムの亡霊、幻影もその一つ。親しかったハッコーらの死により漸く芽生えた"人死"ということ。いくらこれまで様々な戦いを経てもカナンはただ一人の女の子でもある、そんな風にマリアは肌で感じることになります。



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アルファルド「カナンは守るべき光がある状態がもっとも強く。そして、恐ろしい――。お前の役目はただ一つだ。お前は、カナンの本当の力の起爆剤となる」

一方、カナンが離れたマリアのところに現れたのは、やはりアルファルド。列車を止めたことも彼女の策略によるものでした。そんなアルファルドが告げるのはカナンの真の能力を目覚めさせること。守るべき者がある状態が一番強いというのはよく聞く話ですが、アルファルドはそれをマリアという起爆剤を使って無理やりカナンを目覚めさせようという魂胆があった模様。

またマリアもそんなアルファルドの企みは元より、カナンの今の状況、「守りたい人、光を無条件で愛する」という姿に危うい何かを感じたのか、アルファルドの企みを受けるのですが・・・。


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アルファルド「お前があの時現れなければ、シャムがあの場で死ぬことは無かった」

案の定、カナンの守るべき光であるマリアはアルファルドによって撃たれ窮地に陥ってしまいます。隔離され閉じ込められた先には爆弾が仕掛けられ、助けるのはアルファルドを倒さねばならなくなるという状況。まさにカナンの本当の能力を見るにはうってつけの舞台になってしまいます。

そんな中で語るアルファルドの真実。かつての「カナン」だったアルファルドが求めた"極限"の戦士を目指していたアルファルド。しかしシャムが見ていたのは、アルファルドが「カナン」という名を持つ頃に見ていた、今のカナン。

しかし何故シャムを殺したのかはこの時点ではまだ不明。求められた居たのが自分ではなく、"絶望"という名を冠した「カナン」だったからか。リャンとカミングスが死ぬ時に愛とは面倒なコトと言っていましたが、彼女自身はシャムのことを心から慕っていたのかもしれませんね。だからこそ、自分を求めず今のカナンを見ていた彼を殺した。ある意味では単純明快な殺人衝動なのかもしれません。亡霊に囚われていたのはカナンだけでなく、アルファルドも囚われている一人なのでしょう。


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一方、カナンとアルファルドが戦っている中、なんとか脱出しようと試みるマリアとユンユン。しかし、マリアは深手を負っているため動くことができない。だからマリアはユンユンに告げる。列車を切り離してユンユンだけでも逃げて、と。

爆弾の残り時間の僅かな中、ユンユンは無事に列車を切り離すことに成功し、マリアは一人泣きながらカナンを思う――。

マリア「・・・ごめんね、カナン。私は貴方の照らすことができない。私は貴方を――」

カナンが思う無償の愛。しかし、カナンの思いを真っ向から受け止めることができないとわかったマリア。かつては一緒にいたい、一緒に歩いていきたいと願っていたマリアは、だからこそカナンの中の純粋な心の影になってしまうと思ってしまいます。


カナンの守ろうとする力。アルファルドの亡霊を消し去ろうとする思い。マリアの愛するが故の別れ。次回で彼女達の物語も終了となるわけですが、果たしてどんな結末になるのか。まさかマリアが死ぬってことは無いでしょうが、もしかしたら最後の最後でどんでん返しなんて展開もあるかもしれませんね。色々と気になる謎もありますが、次回には綺麗に解決できることを願うばかりです。


~次回予告~

CANAAN 最終話『キボウノチ』

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