月を見上げる丘

独断と偏見による私的廃屋。只今微復活中。

[ハルヒ情報] TVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」2期2作目の”エンドレスエイト”を見た感想と考察

20090620_haruhi_01.jpg20090620_haruhi_02.jpg


TVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の2期2作目である”エンドレスエイト”が放送されてもう2日ほど経つわけですが、今日はレビューも含め色々と持ち上がっている伏線やら疑問点なぞを紹介しながら淡々と語っていこうかと思います。





※ネタバレたんまり書いてますのでご注意あれ





まずは私自身も気になっていた、アニメでの”エンドレスエイト”はどこから始まるのか?ということから。



原作でのキョンの語り

何かがおかしい。そう気付き始めたのは、お盆を過ぎた夏の盛りの日のことだ。
その時、俺は家の居間でダラダラしながら別に見たくも無い高校野球をテレビで眺めていた。

(中略)

テレビに映る試合は俺とはまったく縁もゆかりも行ったことも無い県同士の闘いだが、
判官贔屓的精神により7対0で負けているほうをなんとなく応援していると、
何故だか解らないがそろそろハルヒが騒ぎ出すような気が、これもなんとなくした。

『涼宮ハルヒの暴走』 ~エンドレスエイト~ 7頁



アニメでのキョンの語り

気だるいが、いたってごく正常な、お盆を過ぎた夏の盛りの日のことである。
テレビに映る試合は俺とまったく縁もゆかりも無い県同士の闘いだが、
判官贔屓的精神により負けているほうをなんとなく応援していると、
携帯が、着信音をがなりたて始めやがった。



アニメでのキョンの語りから見れば、原作での語りと細部は違うもののほぼ一緒。しかしながら一番重要な点である原作での語りの『何かがおかしい。そう気付き始めたのは~』アニメでのキョンは全く意識していないことが分かります。


初っ端から全く違う観点で描かれているアニメでのキョンの意識。アニメをご覧になった方は解るかと思いますがアニメのキョンは”何かがおかしい”という意識の片鱗すら見せていません。そのせいか、某掲示板では「タイトルがエンドレスエイトだけどどこがエンドレスなん?」と原作未読な人が語るほど理解不能な回となってしまいました(苦笑)


先ほど書いた「原作での語り」のように原作のキョンは”何かがおかしい”と思い立つので、キョン=自分と仮定すると読んでいるこちらとしても同じように”何かがおかしい”と思い、その何かがわからずともおかしいという前提があるまま物語に入っていくことができます。


例えば先ほどのおかしい疑惑以外にも、


ハルヒからの2度目の電話が切れてからのキョンの語り

俺は電話を放り出して首を傾げた。何だろう、この夢の続きみたいな変な感想は。



などのように冒頭部分だけでもキョンは”何かがおかしい”という疑惑が取り付いています。もちろんキョンのことですからそのまま「何かがおかしい」→「ならば調べてみよう」などとは思わないので、その後の展開としてもアニメとは同じとなります。


アニメでの展開で言うとこのあと『プール』『盆踊り』などを繰り広げていくのですが、その予定表というものがアニメでも描かれていましたね。


『活動予定表』 ~夏休み中にしなきゃダメなこと~
20090620_haruhi_03.jpg


このハルヒが提示した予定表により、原作と同じように「夏休みにやり残したこと」を残りの2週間足らずでこなしていくことになります。ちなみに×印が付いている『夏期合宿』は”エンドレスエイト”の前の話である”孤島症候群”での合宿があたり、『プール』は今話の冒頭でハルヒが電話してからのイベント。



そんな『プール』ですが、ハルヒの号令により集まったSOS団は市民プールへと赴き、そこでもまた原作ですと”何かがおかしい”という既視感(デジャブ)を感じるのですが、何気にアニメでもほんの少しだけ描写している場面があります。


それがこれ。



20090620_haruhi_04.jpg

市民プールで子供と遊ぶハルヒとみくるを見据える長門


アニメ「だけ」を見る限りはたんにキョンが長門はどうしているのかと思い立ちその姿を見たという印象ですが、原作だと、

いつもの姿だ。どこに行っても変わりなく、土偶のように静止している長門の姿である――のだが、

「うん?」

不可解な風が俺の心を上滑りして消えた。また、あの妙な感じだ。何だか長門が退屈そうにしているような感覚が一瞬流れる。

『涼宮ハルヒの暴走』 ~エンドレスエイト~ 22頁



というように長門の姿を垣間見たキョンは”妙な感じ”を覚えます。いつもの長門のように見えますが”何かが違う”と。原作ですとこのようにキョンにまとわり付く違和感、既視感が各所で語られるので伏線を交えた上での物語りになるのですが、アニメだけを見ると本当に伏線そのもの、また伏線への説明が全く無いということになりますね。



そんなアニメでは説明が全く無い”違和感”ですが、原作ですとキョン以外にもこの違和感を感じる人物が描かれています。それが古泉一樹。



20090620_haruhi_05.jpg

プールで遊び終えてからの喫茶店でハルヒの『夏休み活動予定表』を見ている3人


アニメだと全くそれっぽい仕草や言動を見せない彼ですが、原作ですとこのハルヒの考えた予定表を見るなりいつもの彼らしくない行動に出ます。


「ちょっと失礼」
はやばやとアイスオーレを空にした古泉が、用紙をつまみ上げてしげしげ見つめ始めた。考えているような、何かを追い出そうとしているような風情だが

(中略)

「どうも」
古泉はハルヒ称するところの計画表を卓上に戻して、かすかに首をひねった。

『涼宮ハルヒの暴走』 ~エンドレスエイト~ 27頁



癖と豪語する古泉スマイルがこの時ばかりはふと陰りが見えて”何か違和感”を感じ取っています。このように原作ですとキョン以外にも古泉というもう一つのファクターを添えて『一人ではなく二人が感じる違和感』として表現していることになります。この描き方により読者=キョンとなるのなら「これはただの違和感じゃないかも」と思わせることができるわけです。



アニメですと違和感の「い」の字もないように書いてきましたが、『プール』イベントでの”長門を見るキョン”という描写で何気ない表現(アニメだけでは解らない表現w)以外にも、実は『盆踊り』でキョンのセリフ付きという形で原作の違和感という形で表していました。


それがこれ。



20090620_haruhi_06.jpg

「しかし盆踊りね。なんだかすごく久しぶりに見るな」

盆踊りや金魚すくいをしにきた時のキョンのセリフ


原作でもこれとほぼ一字一句同じキョンの語りがあるのですが、原作には以下の”既視感”についての補足がされています。


盆踊りね。なんだかすごく久しぶりに見るな――。

「ん?」

まただ。デジャブっぽい感覚が偏頭痛のように登場した。ここに来るのは久しぶりのはずなのに、つい最近来たような気がする。

『涼宮ハルヒの暴走』 ~エンドレスエイト~ 34頁



ただまぁこうやって比べて解るようにアニメと原作では描き方が全く違う展開へと発展しています。アニメですと何気ないキョンのセリフがあるだけですが、原作だと『久々にきたというのが当たり前のはずなのに違和感を感じているキョン』というが描かれています。




このように原作とアニメではキョンが違和感を感じている、いないという描写と共に『読者にとっての”違和感を感じている”という微かに匂わせる描写』が丸っきり違う描き方になり、アニメだけを見るに今後の展開が全く分からない事態へとなっていることになります。


一応原作を見ているという条件付きならばアニメでの各所にネタらしきものが豊富にありましたのでここいらでちょっと紹介。



ハルヒ新アニメ「エンドレスエイト」における、エンドレスを暗示する表現 :Syu's quiz blog
ハルヒ新アニメ「エンドレスエイト」冒頭の高校野球でリードしているチームが入れ替わるのは単純ミスか仕掛けか? :Syu's quiz blog
ハルヒ新アニメ「エンドレスエイト」のボウリングで、長門有希のスコアが123454321とループしている件 :Syu's quiz blog

20090620_haruhi_07.jpg
長門が買ったお面「値段が800円」
20090620_haruhi_08.jpg
高校野球の得点「8-0
(ホームランにより7-0から8-0に)
 
20090620_haruhi_09.jpg
ハルヒのTシャツ「69
20090620_haruhi_10.jpg
バッティングセンターのバックスコア
(スコアの『7』が小さく『689』が強調)
 
20090620_haruhi_11.jpg
ボーリング大会での長門のスコア
123454321
ハルヒのスコア
6回目1009回目で169



やはり1番インパクトあったのが長門のボーリングのスコアでしょうね(苦笑) 原作にはないイベントなので(盆踊りやバッティングセンターはありましたが)もしかするとアニメで1番の伏線になるのかもしれません。







っと、そろそろ長文書いている私もへーこらしてきたのでそろそろ最後にひとつ。



20090620_haruhi_12.jpg20090620_haruhi_13.jpg


夏休み中にしなきゃダメなこと』を一通り済ませたハルヒたちSOS団。そんな最後の締めくくりにあの「予定表」に×印をつけて満足した…ような素振りを見せるハルヒ。最後の集まりで終わった喫茶店で勘定をキョンに押し付けてハルヒたちは店を出て行く――、というところがこの↑の場面になります。


アニメですと一見なんの変哲もなさそうな場面ですが実はこれ……原作だとかなり重要な分岐点になっています。


なぜ重要なのか…はちょっと言えないので今日のところはボカしておきますが(今更w)、恐らく”この時点でのキョン”はアニメを見た私たちと同じく『ただ楽しんだ夏休み』という出来事を体験したキョンになるかと思います。


この後の展開としては原作既読な私にとっても未読な人にとっても予測不可能っぽい動きになりそうなので、次なる放送では考えられる展開を予想して見てみたいと思います(苦笑)


今日もやられやく 来週の『涼宮ハルヒの憂鬱』は原作未読の人の反応が楽しみ


そのまま”エンドレス”なのか”溜息”が来るのか……好ご期待っ!!



[関連記事]
 kanren_002.gif月を見上げる丘 [ハルヒ情報] TVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」2期2作目の”エンドレスエイト”が無事放送!!

関連記事

0 Comments

Add your comment