(アニメレビュー) CLANNAD -AFTER STORY- 第19回
CLANNAD -AFTER STORY- 第19回 「家路」





「――おかえりなさい」
『ただいまーっ』
夏旅行から古河家へと帰ってきた朋也と汐。
出迎えたのは、そんな二人を影ながら支えてきた早苗。
「旅行は楽しかったですか?」
そう笑顔で朋也たちに聞く早苗。
朋也もそんな早苗に笑顔で返し、冗談交じりに「今度デートして下さいね」と返すのであった。
「だって約束が違うじゃないですか。俺早苗さんとデートするの楽しみだったのに」
「てめぇ人の嫁口説いてんじゃねぇよ」
そうして朋也の前に現れた秋生。
秋生も早苗も、今まで通り、そしていつものように笑いながら朋也と汐を迎え入れる。
そして朋也もそんな二人と同じように、旅行に行く前とは違った笑顔を見せていた。


そうしてから朋也は、渚の遺影の前で手を合わせ、
旅行前に立ち寄ったときは近寄りもしなかった渚の部屋に訪れる。
「…なぎさ」
だんご大家族のぬいぐるみを抱きしめながら思い出すはこの部屋での出来事。
ぬいぐるみからはそんな思い出とともに朋也の心に染み渡っていた。
「朋也さん」
「…早苗さん?」
「変ってないでしょう?あの子が朋也さんと結婚した時のままにしてあるんです。
それ、持って行きますか?汐もそれが大好きなんです」
渚の部屋はあの頃のまま、記憶と思い出を仕舞ったままにしてあった。
そんな渚の部屋にあっただんご大家族のぬいぐるみ。
渚が大好きだった、そして汐も大好きになったぬいぐるみ。
そんなぬいぐるみを抱いていた朋也はこれまでのこと、そしてこれからのことを早苗に話し始める。
「長い間すみませんでした。汐をずっと押し付けたままで…。俺が父親として
自覚が持てるようになったのも結局早苗さんのおかげです」
渚を失い、自暴自棄になっていた自分の代わりに汐を育ててくれた早苗に、そう感謝する朋也。
早苗もまたそんな朋也の言葉をなんともなしに受け止め「何もしていません」と答える早苗。
そんな早苗に朋也はこれからは汐と共に暮らすことを伝える。
そして、汐を渚と同じように思いやりのある強い子に育てると。
「俺、一生かけて恩返ししますから」


「なら、幸せになってくださいね」
いつか言ったようにそう早苗にお礼の言葉を言う朋也だったが、
早苗もまた以前と同じく笑顔でそう返す。「幸せになってください」と。
「パパー」


そんなところに小走りでやってきた汐。
聞くと何年ぶりかの野球を秋生がやると言い出したとのこと。
しかめっ面を一瞬浮かべた朋也だったが、そんな秋生の申し出に断ることもなく、
いつかと同じように公園での対決となった。


「けっ、死んだ魚の目をしてたやつが復活してるじゃねぇかよ」
「いいからさっさと投げろっ」
「汐っ、親父の無様な姿をその目に焼き付けるがいいぜっ」
「汐はどっちが勝つと思う?」
「あっきー」
「マジっスかっ」
いつもの通り、いつもと同じく冗談交じりに野球の相手をする秋生と朋也。
そうして何年ぶりかの対戦が始まり…そして、




カキーーーーンッ
「なっ!?アホなっ」
「見たかっー汐ーっ」
ガシャーーーンッ!!
そうして、いつかあったような対戦は、いつかと同じ結末を迎えていた…。




...そしてOPへ
アフターストーリー19回目。久々の4分近いアバンタイトル。
笑顔で帰ってきた二人を出迎えたこれまた笑顔の早苗。
そして、皮肉を交えつついつもと同じように対する秋生。
流れ的にはさほど差はないものの、原作とはちと違う展開に(台詞カットなどなど)。
まぁ許容範囲ではあるのでそれほど気にはならないかな。
それはそうとアバンタイトルが最初から最後までBGMが「Ana」だったのがキュンときた。
これまでアフターではあまり使わなかったBGMのせいかいつも以上に哀愁漂う感じ。
なんだかんだでCLANNADの曲はどれもいいものだなぁ。
さて、そんな今話は主に前話と違い汐の話…ではなく朋也と○○のお話。
副題は「家路」。手を繋いで古河家に帰ってきた朋也と汐に関連してのタイトルにも思えますが、
やはり本筋は違うところにありました。
副題と言えば光の玉がまた増えていましたね。
今話で計13個。朋也と渚を抜かしたキャラたちと考えると漸く揃ってきた感。
杏、椋、ことみ、智代、風子、有紀寧、春原兄妹、美佐枝、秋生、早苗、芳野、公子。
ただこの数え方だともしかしたら違うのかも。
春原兄姉妹などの二人の人物は一つと数えて、
幸村せんせなどを入れたり今話での重要人物が加わっていたりする…のかも。
そんな今話ですが前話と比べるとたんたんと終わった感じ。
ですが私は原作と同じようにあの別れの場面では目から熱い何かが頬を伝ってました。
後半はそんな感動話で終わるわけですが、
前半にはようやくあの人物のご登場ですっ!!
累計するとどれくらいぶりですかね?アフターの時は全く出ていないので、
少なくとも20話以上は出ていないことになるのかな(汗
今話はそんな感じで二人の主要人物のお話。
朋也自身の家路。そして○○との感動の対面と別れ。
そして久方ぶりの○○との再会。
気になる本編は以下よりどぞー。
◇ ◆ ◇
「……んっ」


帰宅後の野球対戦や酒も入ったせいか古河家のリビングで寝てしまっていた朋也。
傍らには小さく寄り添いながら眠っていた汐。
そんな汐の顔を微笑みながら見つめていたとき、ふと、縁側から声が聞こえた…
「早苗よ、お前も人のこと言えないだろ。あの日から、泣いてねぇ」
「…よく、知ってますね」
「当たり前だ。俺様を誰だと思ってんだ」


それは静かに寄り添いながら縁側に座っていた秋生と早苗の会話。
朋也はそんな二人の会話に、静かにみみを傾けていた。
「私は、やることがありましたから…。汐を育てなければなりませんでしたから。
だから、よかったです。自分を見失わないで済みました…」
「5年か、汐のおかげで救われたよな、俺たち。
…でも、それも終わっちまったな。長い間ごくろうさんだったな…」
「…いぇ、私たちは家族ですから」
「だから、もういいんだ…。今度はお前が泣く番だ」
「どうしようもなくなったときは俺が助ける。お前が泣き止むまで傍にいてやる」


ややあって、秋生の隣で子供のように泣く早苗。
そんな早苗を見て朋也は改めて頭を下げ、静かに心に誓っていた。
感謝と、この暖かい二人の家族と一生共に居ることを…。
……
…
翌日。


「それじゃ、これで」
「いってきますっ」
「いってらっしゃい」
「おぅ、いっぱつかましてこいっ」
「うんっ」
「(お前には通じるのかこれがっ)」
そうして古河家をあとにした朋也と汐。
これから朋也にとっては初めての、そして汐にとっても初めての、
"親子揃っての幼稚園"への送り迎えだった。


「古河さんから事情は伺っています。今後とも宜しくお願いしますね」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
幼稚園の園長先生との対面も素直に進み、事情も知っていたようで事も無き挨拶も終わった。
これから仕事だから、と汐に伝え、朋也は汐を幼稚園に預け手を振って戻ろうとすると、
「(ほら、あの人が岡崎さんだって)」
「(今までなにをしてらしたのかしら?)」


「あの、岡崎と申します。岡崎汐の父親です。ちょっと事情があって
今日から一緒に暮らすことになったんです。どうか宜しくお願いします」
「ぃ、いぇ、ご丁寧に、こちらこそ」
少し前ならキレていたんだろうな、と自分で零していた朋也だったが、
これからの付き合いと汐のことを考え笑顔でそんな風に挨拶する。
集まっていた母親たちは多少笑顔を崩した顔をしていたものの、
朋也はそんなことを気にせずただただ誠心誠意の言葉を残していった。
……
…
「そうか、一緒に暮らすことになったのか」
「はい、これまでご迷惑をおかけしました」

仕事場に行った朋也は早速芳野に事情を話し、これからは汐と一緒に暮らすことになると伝える。
芳野はそんな朋也の事情も知っていたので大変なんじゃないかと言うものの、
朋也は「大事な時期は早苗さんたちがやってくれましたから」と、平気そうな顔で答えていた。
そんな朋也の言葉と表情にようやく安堵したのか、芳野も「何かあったら言え」と応援する。
その芳野の言葉にさっそく朋也は相談する。それは……
……
…
「パパー」


仕事を早めに出させてもらった朋也は預けていた幼稚園へと汐を迎えに行く。
そんな送り迎えに、園長は汐の担当の先生について話し始める。
「今は夏季保育期間なのですが汐ちゃんの担任の先生がお休みなんです」
「お休みって、病気ですか?」
「保育士の研修会に行ってるんです。来週には帰ってきますのでご挨拶はその時改めて」
汐の担任の先生が今は居ないという。しかし来週には研修から帰ってくるということだった。
朋也は汐本人にどんな先生なのか聞くと、
「かみがながくてやさしい」
ということであった…。
(管理人コメント)
ここで待ち望んでいた人も多いあの人の登場は来週に持ち越し(笑
そいえば原作でも初日は会えなかったんですよね。この辺りは原作準拠か。

「それじゃ、パパ仕事に戻るから、よその人が来てもドア開けたりしちゃだめだぞ」
「うんっ」
仕事を早めに切り上げてきた朋也は汐に色々と注意したあと、仕事に戻っていった。






「いってらっしゃい、ぱぱ」
仕事に戻る朋也を笑顔で送る汐。
そんな汐は、朋也が出て行った初めての自分が住む家を探索し始める。
台所からお風呂場。そして、夏の空が広がるベランダにも。
そんな汐の目に飛び込んできた青い青い空。
セミの泣く声とどこかの飛行機が飛ぶ青い空を見上げる汐。
そんな汐の目はどこか光り輝き、何かを見つめるようにずっと空を見上げていた……
----------
ここでAパート終了。
「いってらっしゃい、ぱぱ」
には正直ヤられました前半パート。汐の笑顔はほんまに癒されるの一言です(苦笑
最後の空を見上げていた汐。飛ぶ何かを見つめているというのは、
やはり幻想世界の何かしらを思い浮かべていた…というのは考えすぎかなぁ。
さて、笑顔の汐を幼稚園にあずけたり古河家との久々の対面を済ましたりと、
夏の旅行から順風満帆にきた朋也。
ですが今の朋也にひとつだけ心残りが。
それは早苗も気にしていた一人の人物。
いつか渚も必死に朋也に伝えて仲を取り持っていたあの人物。
後半は朋也にとって重要な、そして夏の旅行で出会った史乃との約束を果たすべく、
その人物へと会いに行きます。
また冒頭でも述べたように途中とある人物とも久方ぶりの対面。
後半パートはそんな感動の再会(一部は感動というよりも面白ですがw)。
気になる方はそのまま後半へとれっつらごーっ。
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朋也が帰ってくるまで部屋で大人しくしている汐。
そんな汐はクレヨンで何かの生き物を描いていた。
そんなとき、ベルが鳴って帰ってきたのは朋也。




朋也が抱えてきたのは、汐も大好きになっただんご大家族のぬいぐるみと沢山の荷物。
そして汐のおもちゃや着替えなどもあったが、
部屋にあがった朋也がまず最初に置いたのが、渚の姿が映った写真。
そんな渚の写真を汐の意見を聞いてよく見えるところに置く朋也。
これで、ようやく朋也と汐、そして渚の親子が揃った家となっていった。
そうして荷物を置いたあとは二人でお買い物。
朋也は未だあまり料理が出来ずにいたが、汐と一緒に頑張って作っていく意思を見せていた。
と、そんな時…
「岡崎さーん」


汐と一緒に歩いていた朋也に声をかけてきたのは、かつての渚の恩師であった公子。


朋也とも何年ぶりかに会う公子はいつかと同じように笑顔で迎え、
そんな笑顔で汐とも笑顔で挨拶していた。
「こんにちわ、芳野公子です。…この子が渚ちゃんの…。
面影はありますね。きっと渚ちゃんに似て強くて可愛らしい女性になるでしょうね」
渚の面影を汐のどこかに見つけた公子は、その表情を一瞬崩したものの、
汐の愛嬌ある顔を見つめ微笑みながら賛美していた。
「そうだ、芳野さんから聞きましたけど、妹さんが退院されたそうですね。おめでとうございます」
そんな公子に朋也は公子の妹が長い入院生活から退院したと芳野から聞き、
公子に笑顔でそう伝える。
そんな公子も笑顔で感謝を述べ、その退院したという妹と一緒に来ていたのだと言い、
公園にいるらしい妹へと声をかけ…
「風ちゃーんっ」




そうして公子が呼んだ先には、砂場で遊ぶひとりの少女。
そんな少女は朋也の顔を不思議そうに見つめ、
朋也もそんな少女をなんとも言えない表情で見つめたあと、少女の頭に手を置いたのだが…


ぽふっ(少女の頭に手を置く朋也)
ブンッ(そんな朋也の手を払いのける少女)
ぽふっ ブンっ ぽふっ ブンッ
ぽふっ!ブンっ!ぽふっ!ブンッ!…っ
「わーーーーーっ」




朋也の手を乗せる行為が気に入らなかったのか叫びながら逃げる少女。
なんとか公子がなだめて大人しくなりようやく自己紹介。
「妹の風子です。こちら、お友達の岡崎さん」
「…はじめまして」
「ぁ、あぁ、こちらこそはじめまして」
おずおずとお辞儀をした風子という少女は、お辞儀をしたあとに目の前の汐を見た途端に…
「んーっ、可愛いですっ。抱きしめてもいいですかっ」




そう言ってすぐさま汐に抱きつく風子。
朋也や公子がなだめるも、風子は汐の可愛さ故か抱きしめたまま恍惚な表情を浮かべていた。
どさくさに紛れて連れて行こうとしたり、自分の妹にすると言い出したりする風子。
そんな風子の言葉を即座に駄目だしする朋也や公子であったが、
抱かれていた汐はまんざらでもない様子だった。
(管理人コメント)
久方ぶりの風子参上っ\(>ω<)/
BGMの「は~りぃすたーふぃっしゅ」も本当に久々に聞いたせいか
思わず頬も緩むってものです(苦笑
以前の風子よりも髪が長くなった?せいかちょっとだけ大人びた感じがしますね。
自称高校1年生ですけどw

「ちょっと変った人だったけど新しい友達が出来てよかったなっ」
「うんっ」
「で、な。パパ明日もお休みとったんだ」
先ほどの公子と風子と会ってから帰宅した朋也と汐。
そんな二人が夕ご飯を食べている最中に、朋也は明日の休みについて汐に話し始める。
「またりょこう?」
「旅行じゃないよ」
それは今日芳野へと伝えた明日も1日休むということ。それは朋也にとって、
汐と一緒に暮らすための、そして朋也がこれからの人生を歩むための一歩でもあった。
そして、夜もすぎ、翌日の休み。


朋也は汐を連れ、手を繋いで訪れた先は…かつて自身が出て行った、岡崎の家であった…。
「……ただいま」


「……あぁ、朋也くん……」
「…おかえり…」
「っ」

何年ぶりかに帰ってきた自分の家。そして何年ぶりかに言葉を交わす親子。
そんな会話で思い返すは、過去の思い出。
楽しかったこと。悲しかったこと。怒りを覚えたこと。
そんな父親との小さかった頃からの、今までの思い出を。
そして、何年ぶりかの再会を胸に、朋也はこれまでの思いをぶつけるように語り掛けていく…

「ずっと、家に居たのか?」
「…うん」
「あんたの母親に会ってきた。こいつと旅行してな。
ずっと北の…、あんたが昔俺を連れて行ってくれたところだ…」
「……うん」
「色んな話を聞いたよ。大変だったんだなって思った。
俺も色々と思い出したよ。昔のことを…」
「なぁ、おやじ。…疲れたろ? そろそろ休んでもいいんじゃないか」
「田舎にあんたのお母さんが待ってる。あんたが手を引いて、
自分で育てるって誓ってくれた場所にさ…」
「……あぁ…」

「だからさ、田舎に帰って母親と一緒に暮らしてやれよ。な?」




「……もう、いいのだろうか……」
「なにが」
朋也にそう言われ、遠くを見つめたあと、
朋也の傍らに居る汐を見つめそう呟く直幸。
それは今までの自分自身、そしてこれまでの人生のこと…そして、
「…もう……おれはやり終えたのだろうか…」


朋也という自分の子を育ててきたということを…
「あんたはっ、何もかも犠牲にして俺をこうして育ててくれたじゃないかっ」
「俺みたいな、出来の悪い息子のために、人生…まるごとつかってくれたんだっ」
「もう十分だよっ」


「……そうか…。いつのまにか、やり終えていたのか…」
「それは…よかった」
……
…


その日、朋也は直幸と汐と共に風呂に入り、
朋也はこれまでの恩をこめるように、無心で直幸の背中を洗っていた。
これまでの人生と、これからの人生に思いをこめて……。
翌朝。




荷物をまとめ、母親の居る地へと向かう直幸を送る朋也と汐。
そんなバイバイと笑顔で送る汐に、そっと手を頭に乗せ笑顔で答える直幸。
朋也も、そんな父親に、心からの感謝を伝えようとしていた。
「…体に気をつけろよ」
「…あぁ」
「……酒、飲みすぎるなよ」
「……あぁ」
「……長生きしてくれよ」
「絶対にっ、恩返しにいくからなっ」

――朋也っほら、おかしだっ
――父さんまた出かけるけど、食べ過ぎないようにするんだぞ
――いつも寂しくさせて、ごめんな
――帰ってきたら、夕飯ちゃんと作るから
――二人で食べよう
――な、朋也


「絶対に、行くからっ」
「あぁ…」
いつかあった風景。いつかあった父と子の思い出。
そんな思いを胸に、朋也は直幸へ、これまでの思いをそうぶつけていった。


「…どうした朋也。どうして泣いている…」
そんな思いが胸いっぱいになったせいか、子供のように泣く朋也。
そんな朋也を、直幸はいつかの出来事のように、優しく頭をなでていた。




そんなとき、朋也のズボンの裾を引っ張り心配そうに見つめる汐。
そんな汐を見て、ようやく朋也は自分も直幸と同じ父親であるということを思い出し、
「心配いらない」と汐にいい涙をぬぐう。
「…父さん、今までありがとう。元気で」
「あぁ。朋也も元気でな」


そう言って、直幸はこれまで住んでいた家に後ろを向け、歩いていった。
愛する人と暮らした家。愛する人との間に恵まれた朋也という息子の前を歩いて…。
そんな直幸の後ろ姿を見て、朋也は思う。
――あの人は、幸せだったのだろうか
――一番幸せなときに…愛する人を亡くして
――それからは、俺と二人きりになって
――俺みたいな親不孝な息子のために頑張り続けて
――それで…幸せだったんだろうか……
朋也がそんな思いを直幸に抱いていたとき、
傍らに居た汐は朋也の手を取り、歩いていく直幸の後姿を見たあと、ふと空を見上げると…


空にはひとつの光。煌々と優しく輝くひかりのたまがあった…。
そして、それはゆらゆらと漂い、朋也たちの傍に寄り添いながら近寄り…




「ん?どうした、汐」
「ひかりが……」
眩いばかりに光り、朋也の胸に吸い込まれるように消えていったひとつの光。
しかし朋也は全くそれに気付かず何事も無かったかのようにしていた。
不思議そうに朋也を見つめる汐。しかし、朋也が何事も無かったと気付くと、
朋也と同じように直幸が去っていった先を見つめる。

夏の青空。セミが鳴く、とある日常に、ひとりの父親が家路についていった。
向かうはいつか息子と誓った北の地。
そして、それを見送る息子とその娘。
こうして、朋也と直幸の、長い長い親子のわだかまりと、
親とは思っていなかった朋也の、長い長い家出が終わりを迎えた。
それは、男手ひとつで育ててくれた父親の姿を焼付けるように、その背を見送って……
......つづく
■19話を終わってみて


キャスト
岡崎朋也
岡崎 汐
岡崎直幸
やっとEDに加わった直幸。これが光の玉効果か(苦笑
長い家出と長い親子の縁がやっと修復できた今話。
原作でもそうだったんですが、最後の玄関での別れのところは号泣でした。・゚・(ノД`)・゚・。
感情移入しすぎるというのも言ってみれば難点ですよねw
原作と言えば、今話はかなり話の前後が入れ替わっておりました。
原作では旅行から帰ってきた朋也は翌日にはすぐに直幸のもとへと行き、
それから幼稚園に送り迎えをしたり風子に会ったりするのですが、
アニメだと順番がかなり違っています。
また風子と会うのは原作だと早苗が先に公園にいて、
それでお互いの紹介などをしたりするんですが…まぁこの辺りは置いときましょう。
原作だと渚ルート一直線なので公子は結婚してないですし(苦笑
あと今話での朋也が作った夕飯はカレーのようでしたが、
原作だとフレンチトーストやハンバーグを披露しております。
この両方の料理を食べる汐を見たかったのですが…とりあえず来週に期待、ということでw
さて、そんな感じで今話で19話が終わったわけですが、
もうAFTER STORYという物語もそろそろ終わりを迎えてきております。
2クールと考えるともう残すところ4、5話程度。今後の展開はどうなっていくのか。
次回予告はこんな感じ↓
~次回予告~
CLANNAD -AFTER STORY- 第20回 「汐風の戯れ」





次回は汐たんかわいいよ汐たんフィーバーの模様っ!!!
っとと、あまりの汐の可愛さに錯乱してしまいました(笑
でもこの可愛さはかつての妹属性クラッシャーである芽衣ちゃん以来ですので、
(たぶん絵コンテさんとか原画さんが同じなせいかな)
勘違いでもいいから汐の可愛さを前面に出して欲しい…という妄想が湧く予告でありますw
朋也と打ち解けたせいなのか子供らしい表情や素顔が本当にまぶしいばかり。
こんな娘をもったら親バカ決定なんでしょうね(苦笑
それはそうと予告で汐が朋也に「パパがんばって」と言ってる台詞が気になります。
原作通りと考えると…たぶん"あのイベント"へのエールだと思うのですが…。
となるともしかして残りの話数って殆ど無い可能性も(汗
汐の姿がこれで見納めかと思うとなんだか複雑な気分であります(´・ω・`)
ともあれそんな感じで次回にまた。
ではではー。





「――おかえりなさい」
『ただいまーっ』
夏旅行から古河家へと帰ってきた朋也と汐。
出迎えたのは、そんな二人を影ながら支えてきた早苗。
「旅行は楽しかったですか?」
そう笑顔で朋也たちに聞く早苗。
朋也もそんな早苗に笑顔で返し、冗談交じりに「今度デートして下さいね」と返すのであった。
「だって約束が違うじゃないですか。俺早苗さんとデートするの楽しみだったのに」
「てめぇ人の嫁口説いてんじゃねぇよ」
そうして朋也の前に現れた秋生。
秋生も早苗も、今まで通り、そしていつものように笑いながら朋也と汐を迎え入れる。
そして朋也もそんな二人と同じように、旅行に行く前とは違った笑顔を見せていた。


そうしてから朋也は、渚の遺影の前で手を合わせ、
旅行前に立ち寄ったときは近寄りもしなかった渚の部屋に訪れる。
「…なぎさ」
だんご大家族のぬいぐるみを抱きしめながら思い出すはこの部屋での出来事。
ぬいぐるみからはそんな思い出とともに朋也の心に染み渡っていた。
「朋也さん」
「…早苗さん?」
「変ってないでしょう?あの子が朋也さんと結婚した時のままにしてあるんです。
それ、持って行きますか?汐もそれが大好きなんです」
渚の部屋はあの頃のまま、記憶と思い出を仕舞ったままにしてあった。
そんな渚の部屋にあっただんご大家族のぬいぐるみ。
渚が大好きだった、そして汐も大好きになったぬいぐるみ。
そんなぬいぐるみを抱いていた朋也はこれまでのこと、そしてこれからのことを早苗に話し始める。
「長い間すみませんでした。汐をずっと押し付けたままで…。俺が父親として
自覚が持てるようになったのも結局早苗さんのおかげです」
渚を失い、自暴自棄になっていた自分の代わりに汐を育ててくれた早苗に、そう感謝する朋也。
早苗もまたそんな朋也の言葉をなんともなしに受け止め「何もしていません」と答える早苗。
そんな早苗に朋也はこれからは汐と共に暮らすことを伝える。
そして、汐を渚と同じように思いやりのある強い子に育てると。
「俺、一生かけて恩返ししますから」


「なら、幸せになってくださいね」
いつか言ったようにそう早苗にお礼の言葉を言う朋也だったが、
早苗もまた以前と同じく笑顔でそう返す。「幸せになってください」と。
「パパー」


そんなところに小走りでやってきた汐。
聞くと何年ぶりかの野球を秋生がやると言い出したとのこと。
しかめっ面を一瞬浮かべた朋也だったが、そんな秋生の申し出に断ることもなく、
いつかと同じように公園での対決となった。


「けっ、死んだ魚の目をしてたやつが復活してるじゃねぇかよ」
「いいからさっさと投げろっ」
「汐っ、親父の無様な姿をその目に焼き付けるがいいぜっ」
「汐はどっちが勝つと思う?」
「あっきー」
「マジっスかっ」
いつもの通り、いつもと同じく冗談交じりに野球の相手をする秋生と朋也。
そうして何年ぶりかの対戦が始まり…そして、




カキーーーーンッ
「なっ!?アホなっ」
「見たかっー汐ーっ」
ガシャーーーンッ!!
そうして、いつかあったような対戦は、いつかと同じ結末を迎えていた…。




...そしてOPへ
アフターストーリー19回目。久々の4分近いアバンタイトル。
笑顔で帰ってきた二人を出迎えたこれまた笑顔の早苗。
そして、皮肉を交えつついつもと同じように対する秋生。
流れ的にはさほど差はないものの、原作とはちと違う展開に(台詞カットなどなど)。
まぁ許容範囲ではあるのでそれほど気にはならないかな。
それはそうとアバンタイトルが最初から最後までBGMが「Ana」だったのがキュンときた。
これまでアフターではあまり使わなかったBGMのせいかいつも以上に哀愁漂う感じ。
なんだかんだでCLANNADの曲はどれもいいものだなぁ。
さて、そんな今話は主に前話と違い汐の話…ではなく朋也と○○のお話。
副題は「家路」。手を繋いで古河家に帰ってきた朋也と汐に関連してのタイトルにも思えますが、
やはり本筋は違うところにありました。
副題と言えば光の玉がまた増えていましたね。
今話で計13個。朋也と渚を抜かしたキャラたちと考えると漸く揃ってきた感。
杏、椋、ことみ、智代、風子、有紀寧、春原兄妹、美佐枝、秋生、早苗、芳野、公子。
ただこの数え方だともしかしたら違うのかも。
春原兄姉妹などの二人の人物は一つと数えて、
幸村せんせなどを入れたり今話での重要人物が加わっていたりする…のかも。
そんな今話ですが前話と比べるとたんたんと終わった感じ。
ですが私は原作と同じようにあの別れの場面では目から熱い何かが頬を伝ってました。
後半はそんな感動話で終わるわけですが、
前半にはようやくあの人物のご登場ですっ!!
累計するとどれくらいぶりですかね?アフターの時は全く出ていないので、
少なくとも20話以上は出ていないことになるのかな(汗
今話はそんな感じで二人の主要人物のお話。
朋也自身の家路。そして○○との感動の対面と別れ。
そして久方ぶりの○○との再会。
気になる本編は以下よりどぞー。
◇ ◆ ◇
「……んっ」


帰宅後の野球対戦や酒も入ったせいか古河家のリビングで寝てしまっていた朋也。
傍らには小さく寄り添いながら眠っていた汐。
そんな汐の顔を微笑みながら見つめていたとき、ふと、縁側から声が聞こえた…
「早苗よ、お前も人のこと言えないだろ。あの日から、泣いてねぇ」
「…よく、知ってますね」
「当たり前だ。俺様を誰だと思ってんだ」


それは静かに寄り添いながら縁側に座っていた秋生と早苗の会話。
朋也はそんな二人の会話に、静かにみみを傾けていた。
「私は、やることがありましたから…。汐を育てなければなりませんでしたから。
だから、よかったです。自分を見失わないで済みました…」
「5年か、汐のおかげで救われたよな、俺たち。
…でも、それも終わっちまったな。長い間ごくろうさんだったな…」
「…いぇ、私たちは家族ですから」
「だから、もういいんだ…。今度はお前が泣く番だ」
「どうしようもなくなったときは俺が助ける。お前が泣き止むまで傍にいてやる」


ややあって、秋生の隣で子供のように泣く早苗。
そんな早苗を見て朋也は改めて頭を下げ、静かに心に誓っていた。
感謝と、この暖かい二人の家族と一生共に居ることを…。
……
…
翌日。


「それじゃ、これで」
「いってきますっ」
「いってらっしゃい」
「おぅ、いっぱつかましてこいっ」
「うんっ」
「(お前には通じるのかこれがっ)」
そうして古河家をあとにした朋也と汐。
これから朋也にとっては初めての、そして汐にとっても初めての、
"親子揃っての幼稚園"への送り迎えだった。


「古河さんから事情は伺っています。今後とも宜しくお願いしますね」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
幼稚園の園長先生との対面も素直に進み、事情も知っていたようで事も無き挨拶も終わった。
これから仕事だから、と汐に伝え、朋也は汐を幼稚園に預け手を振って戻ろうとすると、
「(ほら、あの人が岡崎さんだって)」
「(今までなにをしてらしたのかしら?)」


「あの、岡崎と申します。岡崎汐の父親です。ちょっと事情があって
今日から一緒に暮らすことになったんです。どうか宜しくお願いします」
「ぃ、いぇ、ご丁寧に、こちらこそ」
少し前ならキレていたんだろうな、と自分で零していた朋也だったが、
これからの付き合いと汐のことを考え笑顔でそんな風に挨拶する。
集まっていた母親たちは多少笑顔を崩した顔をしていたものの、
朋也はそんなことを気にせずただただ誠心誠意の言葉を残していった。
……
…
「そうか、一緒に暮らすことになったのか」
「はい、これまでご迷惑をおかけしました」

仕事場に行った朋也は早速芳野に事情を話し、これからは汐と一緒に暮らすことになると伝える。
芳野はそんな朋也の事情も知っていたので大変なんじゃないかと言うものの、
朋也は「大事な時期は早苗さんたちがやってくれましたから」と、平気そうな顔で答えていた。
そんな朋也の言葉と表情にようやく安堵したのか、芳野も「何かあったら言え」と応援する。
その芳野の言葉にさっそく朋也は相談する。それは……
……
…
「パパー」


仕事を早めに出させてもらった朋也は預けていた幼稚園へと汐を迎えに行く。
そんな送り迎えに、園長は汐の担当の先生について話し始める。
「今は夏季保育期間なのですが汐ちゃんの担任の先生がお休みなんです」
「お休みって、病気ですか?」
「保育士の研修会に行ってるんです。来週には帰ってきますのでご挨拶はその時改めて」
汐の担任の先生が今は居ないという。しかし来週には研修から帰ってくるということだった。
朋也は汐本人にどんな先生なのか聞くと、
「かみがながくてやさしい」
ということであった…。
(管理人コメント)
ここで待ち望んでいた人も多いあの人の登場は来週に持ち越し(笑
そいえば原作でも初日は会えなかったんですよね。この辺りは原作準拠か。

「それじゃ、パパ仕事に戻るから、よその人が来てもドア開けたりしちゃだめだぞ」
「うんっ」
仕事を早めに切り上げてきた朋也は汐に色々と注意したあと、仕事に戻っていった。






「いってらっしゃい、ぱぱ」
仕事に戻る朋也を笑顔で送る汐。
そんな汐は、朋也が出て行った初めての自分が住む家を探索し始める。
台所からお風呂場。そして、夏の空が広がるベランダにも。
そんな汐の目に飛び込んできた青い青い空。
セミの泣く声とどこかの飛行機が飛ぶ青い空を見上げる汐。
そんな汐の目はどこか光り輝き、何かを見つめるようにずっと空を見上げていた……
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ここでAパート終了。
「いってらっしゃい、ぱぱ」
には正直ヤられました前半パート。汐の笑顔はほんまに癒されるの一言です(苦笑
最後の空を見上げていた汐。飛ぶ何かを見つめているというのは、
やはり幻想世界の何かしらを思い浮かべていた…というのは考えすぎかなぁ。
さて、笑顔の汐を幼稚園にあずけたり古河家との久々の対面を済ましたりと、
夏の旅行から順風満帆にきた朋也。
ですが今の朋也にひとつだけ心残りが。
それは早苗も気にしていた一人の人物。
いつか渚も必死に朋也に伝えて仲を取り持っていたあの人物。
後半は朋也にとって重要な、そして夏の旅行で出会った史乃との約束を果たすべく、
その人物へと会いに行きます。
また冒頭でも述べたように途中とある人物とも久方ぶりの対面。
後半パートはそんな感動の再会(一部は感動というよりも面白ですがw)。
気になる方はそのまま後半へとれっつらごーっ。
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朋也が帰ってくるまで部屋で大人しくしている汐。
そんな汐はクレヨンで何かの生き物を描いていた。
そんなとき、ベルが鳴って帰ってきたのは朋也。




朋也が抱えてきたのは、汐も大好きになっただんご大家族のぬいぐるみと沢山の荷物。
そして汐のおもちゃや着替えなどもあったが、
部屋にあがった朋也がまず最初に置いたのが、渚の姿が映った写真。
そんな渚の写真を汐の意見を聞いてよく見えるところに置く朋也。
これで、ようやく朋也と汐、そして渚の親子が揃った家となっていった。
そうして荷物を置いたあとは二人でお買い物。
朋也は未だあまり料理が出来ずにいたが、汐と一緒に頑張って作っていく意思を見せていた。
と、そんな時…
「岡崎さーん」


汐と一緒に歩いていた朋也に声をかけてきたのは、かつての渚の恩師であった公子。


朋也とも何年ぶりかに会う公子はいつかと同じように笑顔で迎え、
そんな笑顔で汐とも笑顔で挨拶していた。
「こんにちわ、芳野公子です。…この子が渚ちゃんの…。
面影はありますね。きっと渚ちゃんに似て強くて可愛らしい女性になるでしょうね」
渚の面影を汐のどこかに見つけた公子は、その表情を一瞬崩したものの、
汐の愛嬌ある顔を見つめ微笑みながら賛美していた。
「そうだ、芳野さんから聞きましたけど、妹さんが退院されたそうですね。おめでとうございます」
そんな公子に朋也は公子の妹が長い入院生活から退院したと芳野から聞き、
公子に笑顔でそう伝える。
そんな公子も笑顔で感謝を述べ、その退院したという妹と一緒に来ていたのだと言い、
公園にいるらしい妹へと声をかけ…
「風ちゃーんっ」




そうして公子が呼んだ先には、砂場で遊ぶひとりの少女。
そんな少女は朋也の顔を不思議そうに見つめ、
朋也もそんな少女をなんとも言えない表情で見つめたあと、少女の頭に手を置いたのだが…


ぽふっ(少女の頭に手を置く朋也)
ブンッ(そんな朋也の手を払いのける少女)
ぽふっ ブンっ ぽふっ ブンッ
ぽふっ!ブンっ!ぽふっ!ブンッ!…っ
「わーーーーーっ」




朋也の手を乗せる行為が気に入らなかったのか叫びながら逃げる少女。
なんとか公子がなだめて大人しくなりようやく自己紹介。
「妹の風子です。こちら、お友達の岡崎さん」
「…はじめまして」
「ぁ、あぁ、こちらこそはじめまして」
おずおずとお辞儀をした風子という少女は、お辞儀をしたあとに目の前の汐を見た途端に…
「んーっ、可愛いですっ。抱きしめてもいいですかっ」




そう言ってすぐさま汐に抱きつく風子。
朋也や公子がなだめるも、風子は汐の可愛さ故か抱きしめたまま恍惚な表情を浮かべていた。
どさくさに紛れて連れて行こうとしたり、自分の妹にすると言い出したりする風子。
そんな風子の言葉を即座に駄目だしする朋也や公子であったが、
抱かれていた汐はまんざらでもない様子だった。
(管理人コメント)
久方ぶりの風子参上っ\(>ω<)/
BGMの「は~りぃすたーふぃっしゅ」も本当に久々に聞いたせいか
思わず頬も緩むってものです(苦笑
以前の風子よりも髪が長くなった?せいかちょっとだけ大人びた感じがしますね。
自称高校1年生ですけどw

「ちょっと変った人だったけど新しい友達が出来てよかったなっ」
「うんっ」
「で、な。パパ明日もお休みとったんだ」
先ほどの公子と風子と会ってから帰宅した朋也と汐。
そんな二人が夕ご飯を食べている最中に、朋也は明日の休みについて汐に話し始める。
「またりょこう?」
「旅行じゃないよ」
それは今日芳野へと伝えた明日も1日休むということ。それは朋也にとって、
汐と一緒に暮らすための、そして朋也がこれからの人生を歩むための一歩でもあった。
そして、夜もすぎ、翌日の休み。


朋也は汐を連れ、手を繋いで訪れた先は…かつて自身が出て行った、岡崎の家であった…。
「……ただいま」


「……あぁ、朋也くん……」
「…おかえり…」
「っ」

何年ぶりかに帰ってきた自分の家。そして何年ぶりかに言葉を交わす親子。
そんな会話で思い返すは、過去の思い出。
楽しかったこと。悲しかったこと。怒りを覚えたこと。
そんな父親との小さかった頃からの、今までの思い出を。
そして、何年ぶりかの再会を胸に、朋也はこれまでの思いをぶつけるように語り掛けていく…

「ずっと、家に居たのか?」
「…うん」
「あんたの母親に会ってきた。こいつと旅行してな。
ずっと北の…、あんたが昔俺を連れて行ってくれたところだ…」
「……うん」
「色んな話を聞いたよ。大変だったんだなって思った。
俺も色々と思い出したよ。昔のことを…」
「なぁ、おやじ。…疲れたろ? そろそろ休んでもいいんじゃないか」
「田舎にあんたのお母さんが待ってる。あんたが手を引いて、
自分で育てるって誓ってくれた場所にさ…」
「……あぁ…」

「だからさ、田舎に帰って母親と一緒に暮らしてやれよ。な?」




「……もう、いいのだろうか……」
「なにが」
朋也にそう言われ、遠くを見つめたあと、
朋也の傍らに居る汐を見つめそう呟く直幸。
それは今までの自分自身、そしてこれまでの人生のこと…そして、
「…もう……おれはやり終えたのだろうか…」


朋也という自分の子を育ててきたということを…
「あんたはっ、何もかも犠牲にして俺をこうして育ててくれたじゃないかっ」
「俺みたいな、出来の悪い息子のために、人生…まるごとつかってくれたんだっ」
「もう十分だよっ」


「……そうか…。いつのまにか、やり終えていたのか…」
「それは…よかった」
……
…


その日、朋也は直幸と汐と共に風呂に入り、
朋也はこれまでの恩をこめるように、無心で直幸の背中を洗っていた。
これまでの人生と、これからの人生に思いをこめて……。
翌朝。




荷物をまとめ、母親の居る地へと向かう直幸を送る朋也と汐。
そんなバイバイと笑顔で送る汐に、そっと手を頭に乗せ笑顔で答える直幸。
朋也も、そんな父親に、心からの感謝を伝えようとしていた。
「…体に気をつけろよ」
「…あぁ」
「……酒、飲みすぎるなよ」
「……あぁ」
「……長生きしてくれよ」
「絶対にっ、恩返しにいくからなっ」

――朋也っほら、おかしだっ
――父さんまた出かけるけど、食べ過ぎないようにするんだぞ
――いつも寂しくさせて、ごめんな
――帰ってきたら、夕飯ちゃんと作るから
――二人で食べよう
――な、朋也


「絶対に、行くからっ」
「あぁ…」
いつかあった風景。いつかあった父と子の思い出。
そんな思いを胸に、朋也は直幸へ、これまでの思いをそうぶつけていった。


「…どうした朋也。どうして泣いている…」
そんな思いが胸いっぱいになったせいか、子供のように泣く朋也。
そんな朋也を、直幸はいつかの出来事のように、優しく頭をなでていた。




そんなとき、朋也のズボンの裾を引っ張り心配そうに見つめる汐。
そんな汐を見て、ようやく朋也は自分も直幸と同じ父親であるということを思い出し、
「心配いらない」と汐にいい涙をぬぐう。
「…父さん、今までありがとう。元気で」
「あぁ。朋也も元気でな」


そう言って、直幸はこれまで住んでいた家に後ろを向け、歩いていった。
愛する人と暮らした家。愛する人との間に恵まれた朋也という息子の前を歩いて…。
そんな直幸の後ろ姿を見て、朋也は思う。
――あの人は、幸せだったのだろうか
――一番幸せなときに…愛する人を亡くして
――それからは、俺と二人きりになって
――俺みたいな親不孝な息子のために頑張り続けて
――それで…幸せだったんだろうか……
朋也がそんな思いを直幸に抱いていたとき、
傍らに居た汐は朋也の手を取り、歩いていく直幸の後姿を見たあと、ふと空を見上げると…


空にはひとつの光。煌々と優しく輝くひかりのたまがあった…。
そして、それはゆらゆらと漂い、朋也たちの傍に寄り添いながら近寄り…




「ん?どうした、汐」
「ひかりが……」
眩いばかりに光り、朋也の胸に吸い込まれるように消えていったひとつの光。
しかし朋也は全くそれに気付かず何事も無かったかのようにしていた。
不思議そうに朋也を見つめる汐。しかし、朋也が何事も無かったと気付くと、
朋也と同じように直幸が去っていった先を見つめる。

夏の青空。セミが鳴く、とある日常に、ひとりの父親が家路についていった。
向かうはいつか息子と誓った北の地。
そして、それを見送る息子とその娘。
こうして、朋也と直幸の、長い長い親子のわだかまりと、
親とは思っていなかった朋也の、長い長い家出が終わりを迎えた。
それは、男手ひとつで育ててくれた父親の姿を焼付けるように、その背を見送って……
......つづく
■19話を終わってみて


キャスト
岡崎朋也
岡崎 汐
岡崎直幸
やっとEDに加わった直幸。これが光の玉効果か(苦笑
長い家出と長い親子の縁がやっと修復できた今話。
原作でもそうだったんですが、最後の玄関での別れのところは号泣でした。・゚・(ノД`)・゚・。
感情移入しすぎるというのも言ってみれば難点ですよねw
原作と言えば、今話はかなり話の前後が入れ替わっておりました。
原作では旅行から帰ってきた朋也は翌日にはすぐに直幸のもとへと行き、
それから幼稚園に送り迎えをしたり風子に会ったりするのですが、
アニメだと順番がかなり違っています。
また風子と会うのは原作だと早苗が先に公園にいて、
それでお互いの紹介などをしたりするんですが…まぁこの辺りは置いときましょう。
原作だと渚ルート一直線なので公子は結婚してないですし(苦笑
あと今話での朋也が作った夕飯はカレーのようでしたが、
原作だとフレンチトーストやハンバーグを披露しております。
この両方の料理を食べる汐を見たかったのですが…とりあえず来週に期待、ということでw
さて、そんな感じで今話で19話が終わったわけですが、
もうAFTER STORYという物語もそろそろ終わりを迎えてきております。
2クールと考えるともう残すところ4、5話程度。今後の展開はどうなっていくのか。
次回予告はこんな感じ↓
~次回予告~
CLANNAD -AFTER STORY- 第20回 「汐風の戯れ」





次回は汐たんかわいいよ汐たんフィーバーの模様っ!!!
っとと、あまりの汐の可愛さに錯乱してしまいました(笑
でもこの可愛さはかつての妹属性クラッシャーである芽衣ちゃん以来ですので、
(たぶん絵コンテさんとか原画さんが同じなせいかな)
勘違いでもいいから汐の可愛さを前面に出して欲しい…という妄想が湧く予告でありますw
朋也と打ち解けたせいなのか子供らしい表情や素顔が本当にまぶしいばかり。
こんな娘をもったら親バカ決定なんでしょうね(苦笑
それはそうと予告で汐が朋也に「パパがんばって」と言ってる台詞が気になります。
原作通りと考えると…たぶん"あのイベント"へのエールだと思うのですが…。
となるともしかして残りの話数って殆ど無い可能性も(汗
汐の姿がこれで見納めかと思うとなんだか複雑な気分であります(´・ω・`)
ともあれそんな感じで次回にまた。
ではではー。
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