月を見上げる丘

独断と偏見による私的廃屋。只今微復活中。

(アニメレビュー) CLANNAD -AFTER STORY- 第18回

CLANNAD -AFTER STORY- 第18回 「大地の果て」


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幻想世界--//



「歩いていく?色んなものがあって暖かくて楽しい場所へ…」

「君はそうしたいんだよね」

「…」

「そう」


「じゃ、いこう…」




--//幻想世界



冬の雪が降り注ぐ世界。真っ白で冷たい世界。
ガラクタのボクはそんな世界から飛び立とうと空を飛ぶ機械を作っていたものの、
ボク自身の思いだけでは何も作れず、ただただガラクタを積み上げるだけだった。

そんなボクを優しく包み込んだ少女。
何も生み出せない、それでも何かを作り出そうとするボク。そんな彼を愛しむように。

そうして二人は手を繋ぎ、歩いていこうと決意する。
冬の雪が降り注ぐ世界。冷たく二人しか居ない世界を、抜け出すために――



▼続きより詳細レビュー





CLANNAD -AFTER STORY- 第18回 「大地の果て」



アフターストーリー18回目。

アバンタイトルでは少女とボクが手を繋いで歩いていく姿。
それは冷たく凍る世界を抜け出すため。しかし周りには降り注ぐ真っ白な雪。
手を繋いだ二人の行く末はどうなるのか。
暖かく楽しく、いっぱいの人が居る世界へと二人は行けるのか。
今話でもう18話。二人っきりの物語もそろそろ終点へと向かっているようです。

ところ変って二人っきりの旅行へと向かった朋也と汐。
早苗の企画した旅行は1日遅れと相成りましたが二人の行き着く先はどこなのか。
そして、二人っきりの親子は何を見つけるのか。

幻想世界と現実世界。二つと二人の物語。
リンクした二つの世界はどうなっていくのか。


尚、今話は今までに無いぐらいの

感動エピソードですっ

色々と冒頭で書いちゃうとアレなのであまりここでは書きませんが、
前話で汐大好きっ子になった方は是非にそのまま以下のレビューの熟読をお勧めします
もうなんていうか感動に感動を重ねた回です。モニタがよく見えなくなりますのでお気を付けを(笑


それ以下より本編レビューをどぞー。








     ◇     ◆     ◇








「ね、遊んで」


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「早苗さんとは何してるんだ」

「ご本よむ」


朋也と汐の二人っきりの旅行が始まった。車内には大勢の客がおり、
汐とそれほど歳が変らない子供もおり静かというよりものうるさげな車内であった。

そんな時に朋也の服を引っ張り遊んでとせがむ汐。
普段どういった遊びをしているのか知らない朋也はどんな遊びをしているのかと聞くと、
早苗とは一緒にご本を読んでいるものの、今日は読めそうな本は持ってこなかったという。

そんな時、早苗の変わりに秋生とはどういった遊びを聞くのか朋也が聞くと…


「やきゅう」

「野球っ!?」

「うん、みて…」


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「こまだ」

「物まねかよ…」



それは野球好きな秋生が教えた選手の物まね。
しかし汐がそんな物まねをやるのはあまりに似合わなかったのか、朋也にはいまいち伝わらず、
汐は「ざんねん」と言いながら席に戻っていった。


そんな時…


「ママーっ聞いて聞いてっー」

「ほら、ちゃんと座りなさい」


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朋也たちの席の隣には座席に立ち騒ぐ子供。
そんな子をなだめる母親であったがなおさらに子供は騒ぐばかり。

その子供の騒ぐ声は最初は気になる程度であったものの段々と声が高くなっていき、
そしてついには…


「ママーっママーっ」

「うるせぇっ!!」


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「ちったぁ周りのことも考えろっ!!」


思わず声を荒げる朋也。そんな朋也の言葉に騒いでいた子供も大人しくなるものの、
その子供を庇うかのように抱き謝る母親。

しかし、驚いたのはその子供らだけでなく、隣に居た汐もであった。


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「くそっ……ん?汐?」


ふと気が付くと、隣の席に居たはずの汐が居なくなっていた。
探しにいくとその先にはトイレから出てきた汐。

汐がトイレに行ったということを知り呆れながら朋也は悪態をつく…のだが、


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「お前なぁ、トイレに行くなら一言言っていけよ」

「…ぅ」


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「…お前、泣いてたのか」


そこには目を赤くした汐の姿。泣いている汐の姿を見て驚いていた朋也だったが、
汐はそんな姿を見せていても「泣いてない」との一点張り。


「嘘つくなよ」

「ないちゃだめだって…早苗さんが」

「…マジかよ。意外に厳しいんだなあの人」


それは泣いては駄目という早苗の教え
しかし、ただ泣くのを我慢するということだけではなく、もう一つの教えがあった。
それは…


「ないてもいいところがあるって」

「ふーん、どこだよ」


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「……おトイレ」


上目遣いでそう答える汐。それは朋也に言っていいものかどうか迷った挙句に出した答えだった。
それは他の人に気付かれずに泣ける場所でなら泣いてもいい。そんな早苗の教え。

しかし朋也はそんな汐の答えに対して、

「素直に泣いてもいい。大人になったら辛いことは沢山あるから」

と自分の心境を語るように汐に言っていた。


……





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そうして駅に降り立った二人。
しかし汐は先ほどの出来事のせいか悲しい表情を浮かべており、
朋也は自分が泣かしてしまったのだと思い立ち汐にある提案を持ちかける、それが、


「おい、おもちゃいるか?」


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それはせめておもちゃで少しでもこの旅を楽しませたいがための小さな朋也の心遣い。
そんな朋也の言葉に汐は、時間をかけ自分が買いたいものを選んでいた。

しかし、途中駅ということもあり次の電車への時間が差し迫ってきていたので、
朋也は選ぶのに時間がかかる汐に自分の趣味で”あるモノ”を差し出す。それが、


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「…おい、これなんてどうだ?」

「ぁ……うんっ」


そうして差し出したのは手のひらサイズの寸胴なロボット
汐もそれが珍しかったのか目を輝かせ嬉しそうに返事をする。

そして再びの電車内。ロボットの腕をがちゃがちゃを動かし遊ぶ汐。
しかし朋也は汐が女の子ということもあり自分が進めたものの無理はするなと言うのだが、


「ううん、これがいいっ。これがすきっ」


汐はそんな朋也の言葉とは裏腹に目をらんらんとさせ返事をする。
古河家で男の子のように走り回っていたこともあってか、
朋也はそんな返事をする汐に「変った趣味してるよな」と苦笑いを浮かべながら呟いていた。

しかし、無邪気にロボットで遊ぶ汐を横に朋也は思う。


 ――楽しい夏休みになっているんだろうか

 …そんな訳ないか。俺なんかと二人きりで――



楽しいはずの夏休み。早苗の企画したみんなで行く旅行。
しかし早苗と秋生は事情により不参加。そんな折に始まった二人きりの初めての旅行。
自分が怒鳴ったせいでトイレで泣いていた汐を見て、朋也はそんな風に心の中で思っていた…


……





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そうしてようやく宿について床に入る朋也と汐。
そんな中夜中に抜け出す汐に声をかけるとトイレに行くという。

また泣くためかと思い驚く朋也だったが「大きいほう」と言われホっとする朋也。
そんな汐が流石に知らないところで夜中ということもあり心配で付いていく最中、
宿の外に光るホタルを汐は見つけ初めて見たものに驚いていた。

そんな中、朋也を何か言いたげに見上げてくる汐。
先ほどの車内で怒鳴ったことにまた自分のことを怖がっているのかと思った朋也は、
汐と同じ目線で「何か言いたいなら遠慮なく言え」と言い促す。

そんな朋也の言葉にじっと考えるようにしていた汐が言った言葉が…


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「ママのことおしえて」

「っ!!!」


それはずっと汐が聞きたかった母親の渚のこと。
自分には母親が居ないことは知っていたものの、詳しいことは何一つ知らなかったのだった。


「…早苗さんに聞けよ」

「きいてもおしえてくれないから」


そんな事を言われ驚く朋也。しかし、朋也は未だに渚のことを吹っ切れていないためか、
育て親である早苗に聞けと言うものの、早苗自身も教えてくれていなかったのだという。


「早苗さんに聞いてくれ。俺からは話してくれなかったからって……」


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そう言ってその場を去る朋也。
自分の口からは言えない、だから自分が教えてくれなかったからと早苗に言え。そう言い残して。

そうしてその場には朋也の背中を見つめつつ、ただ佇む汐だけが残されていた……


……





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一泊の宿を出て再び電車を乗り継いでようやく辿りついた目的地。
日が差しているということもあり汐の帽子を深く被らせる朋也。
そんな朋也の気遣いに見上げる汐。

その二人が行き着いた先は、沢山のひまわりなどが咲く花畑。


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「わぁ」

「すげぇな」


そんな光景に感動する二人。
朋也は汐がようやく見せたそんな笑顔に、もっとこの光景を見せてやりたく、


「もっとよく見たいか?」

「みたいっ」


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「どうだ?」

「うー、すごいっ」


もっと見たいと願った汐のために肩車をする朋也。
最初はおっかなびっくりだった汐も、高い視点から見る光景に先ほど以上に喜んでいた。


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そうして花畑を元気に走り回る汐。
そんな汐を見て、朋也はようやくこの旅行に来て良かったのだと笑顔で見つめていた。
汐もそんな空気を感じてか、花畑から朋也へと手をふり、
朋也もそんな汐に微笑みながら手を降りかえしていた。





疲れていたせいもあってか木陰で休んでいた朋也のところにやってきた汐。
その顔は先ほどまでの楽しい笑顔ではなく悲しい顔をしており、それは、


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「…ん、どうした?」

「……なくしちゃった。ろぼっと…」


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「汐、諦めよう。帰りにまた同じの買えばいいよ。な?」

「……あれがいい」


走り回っていたときに落としてしまったロボット。
しかし必死に落ちた箇所だと思えるところを探す二人だが見つからずじまい。
朋也はまた買えばいいと言うものの、汐は頑として買ってもらったものを探すと聞かなかった。


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頑なにロボットを探している汐。朋也はもう探しても無駄だと思ってか、
そんな汐の姿を目を細めて見つめていると……


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一瞬の風が吹いたと思いきや、花畑でロボットを探している汐の姿がぶれて見える朋也。
それはかつて、どこかで見たような光景であった。

子供の姿。そしてその子供と一緒に居る大人の姿。


「汐ーっ。俺この先まで行ってくるからな。ここに居ろよ」

「うん」


何かを探すように周りを見渡し、何かを感じたのかそう汐に言う朋也。
そうして朋也はロボットを探す汐をそこに残して、とある場所へと向かっていた。


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道すがら見覚えのあるような感覚に襲われる朋也。
そうして歩いた先、とある岬に居た人物。それは…


「岡崎、朋也さんですね」

「ぁ、はい。俺を知っているんですか?」

「えぇ、存じております。私は…岡崎史乃と申します」


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「貴方のお父さん、岡崎直幸の母です」

「ぁ…」


夕暮れ近くのとある岬。そこで待っていたのは朋也の父親、岡崎直幸の母、史乃。
それは早苗が企画した夏旅行の最後の目的地であった……



----------



ここでAパート終了。
夕暮れの岬で待っていたのは朋也の父親、直幸の母である岡崎史乃さん。
ただの旅行かと思っていた矢先の人物に会った朋也は何を思うのか。

とりあえず今のところほぼ原作準拠な進み具合…なのですが、
尺の関係か構成の変更か何かでかなり違うところもあったりしたのがちと残念。
以下にちょっと原作とは違う点を挙げたいと思います。


例えば電車内での朋也と汐の会話。
冒頭部分などはあまり変わらないものの、旅館で汐がトイレに行ったあとの渚の話しは、
原作だと電車内で泣くためにトイレにいったあとに汐は朋也に聞く、ということになっています。

また寂しさを紛らわすために買い与えたロボット。
アニメだとなんだか「ただなんとなく」みたいな理由で汐へと薦めていましたが、
原作だと一応理由付けみたいなものが描写されています。

時代錯誤なデザインが珍妙で面白かったから、思わず俺が薦めてしまったのだ。

汐は悩むことなく、それに決めてしまった。

「汐ルート 『朋也のロボット薦め』 夏の旅行電車内にて」


またこのロボットは珍妙なデザイン以外にも、
これまたツッコミ満載の音を醸し出したりしています(苦笑

ミュィーーーン…

……。

ギィィィ! ガァァァ! ギィィィ! ガァァァ!

キシャーーーーッ!

「キシャーーッ、て俺が言いたくなるわっ!」

「汐ルート 『ロボット起動音』 夏の旅行電車内にて 」


ちなみに起動しているのはもちろん汐で、ツッコミはもちろん朋也(笑
このせいでまた汐が大人しくなってしまうのですが、まぁそのあたりはアニメと同じということで。

また駅を降り立った目的地でアニメではすぐに花畑へと向かっていましたが、
本来は動物に触れる動物園に向かい、宿に泊まるという日程に。
ですが出発が早苗さんの企画した日程より1日遅れということで、
予定していた宿がキャンセルになってしまったので慌てて宿を探す、という描写もあります。

花畑で汐がロボットを落としてしまった描写などのところも結構違ったりします。
走り回ったせいで疲れている汐の代わりに朋也が一人で探していたり、
汐が一人で探しているところを見ている朋也の寂しい回想があったりと、
他にも色々と細かな描写の違いがあるのですが、
まぁ大人の都合という名の編集だと思うので致し方ない…かなぁ。

ともあれ大筋のところはほぼ原作準拠。
原作では表現できない動きのある汐が見れて自分としては万々歳かな。
ロボットを買ってもらった汐のランランと輝く目の動きとかはもうど真ん中ストライクでした(苦笑


そんな朋也と汐の夏旅行も終盤。
最終地点で待っていたのは朋也の父親、直幸の母、史乃。
彼女はなぜここで待っていたのか。

史乃の登場で朋也と汐の関係が劇的に変化します。
冒頭でも述べたように涙×涙の物語なので、ハンカチ&ティッシュを用意してお読みください(笑


それでは以下のBパートをどぞ。




----------




「古河さんという方から連絡を頂きまして、ここに居れば貴方がいらっしゃると」


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「大きくなりましたね」

「お会いしたこと、あるんですか?」

「貴方がまだ小さく、敦子さんが亡くなった後のことです」


早苗からの連絡でここに居た史乃。それは朋也に会うためだった。
しかしそれは初めての出会いではなく、朋也の母である岡崎敦子が亡くなった頃、
その時以来ということだった。


「あの子はまだ罪滅ぼしをしているところですか?」

「…いえ、もう出所して自宅に戻っているはずです」


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「大変な思いをしたでしょう。敦子さんも直幸も学生でしたから。

 直幸は高校を中退して二人で狭いアパートに暮らし始めて…。

 …でも、幸せそうでした……」



狭いアパートの中で暮らす。幸せそうな家族。
そして、そんな幸せの中で生まれた小さな小さな命。
それが、岡崎直幸と岡崎敦子の間に生まれた朋也だった…。


「でもこの幸せは長くは続きませんでした。敦子さんが事故で亡くなって、

 あの子にとってそれは、立ち直れないほど悲しい出来事でした。

 …でもね、まだ絶望するわけにはいかなかったのですよ」



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「朋也さん、まだ幼い貴方が残されていたからです」

「―――ぁ」


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「この子だけは自分の手で育て上げるから、と。

 貴方はこの場所から手を繋いで直幸と歩いていったのですよ。

 …覚えていますか?そこから始まった日々を……」



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「何度も仕事をクビになって転々として、

 それでも、貴方を手放さずにいました。なけなしのお金でおもちゃを買い、おかしを食べさせて、

 自分の運や自分の成功する機会を犠牲にして…」



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「時には厳しかったり、乱暴であったりしたかもしれません。

 でも全て貴方を無事に育てあげるためだったのですよ」



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「仕事の辛さをお酒で紛らわし、酔って暴れることもあったと聞きました。

 それでも貴方と生きることをあの子は選んだのです…」



遠い遠い記憶の片隅。遠く遠くの父親との暮らし。
そんな風景を、朋也は史乃の話を聞きながら幻視する。
手を繋いで歩いていたこと。
おもちゃを買ってもらい嬉しかったこと。
おもちゃが壊れ泣いていたこと。
一緒にご飯を食べられて嬉しかったこと…。

酒に酔って寝ている父親の姿。
そんな父親の傍らで絶望している自分の姿。

そして、小さな小さな汐が、一人で遊んでいる姿……。


「そして貴方が自分で人生を決められる歳になったときには、

 あの子は全てを失いました…。仕事も信頼も運も友も、何もかも…」



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「今の貴方もあの子と同じ境遇だそうですね…辛いことです。

 でも、だからこそ私はあの子がどんな父親であったのかお話したかった。

 …朋也さん、直幸は駄目な父親であったと思いますか?」


「…いいえ。俺のほうがよっぽど駄目な人間です。俺、あの日の親父と同じ場所に立っているんです。

 なのに、今の俺は弱くて…情けないです」


「あの子もそうなんです。弱くて情けなくて…」

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「でも、私はあの子を誇りに思いたいのです。

 人間としては駄目なところもあったけれど、父親としては立派だったと…」


「俺も…俺も、そう思います」


人間としての直幸。父親としての直幸。
朋也はそんな両面の父をようやく見据えることができ、
史乃の話を心から賛同していた。


「ありがとうございます。…朋也さん、あの子は頑張りすぎました。

 そろそろ休んでもいい頃でしょう。直幸に伝えてください、もう帰ってくるように、と」



狭いアパートで朋也が生まれ、最愛の人を亡くし、朋也も成人し、
そして全てを失ってしまった直幸をここで待っている、そう伝える史乃。

そんな史乃の言葉に、誠心誠意のお辞儀をする朋也。




こうして、朋也の夏休み。早苗の企画した夏旅行が終わりを告げた……。




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「汐ーっ、見つかったか?」

「…ううん」

「ずっと探してたのか?」

「うん」


史乃と一緒に汐のところに戻ってきた朋也。
辺りはもう夕暮れになっていたが、汐は未だに無くしたロボットを探していた。


「あのロボットな。見つからないかもしれない。だからまた新しいの買おう。な?」

「……」


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「あれ、ひとつだけだから」

「売店に沢山売ってたろ」

「…えらんでくれて、かってくれたものだから」


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「はじめて、パパに」

「……っ」


それはありふれたロボットのおもちゃ。
でも、汐にとってはかけがえのないたった一つの大切なもの。
父親である朋也からの、初めて買ってくれたたった一つのおもちゃ。


「汐…、寂しかったか?」

「…うん」

「俺なんかと旅行できて、楽しかったか?」

「うん」



「な、汐…これからは、ずっと傍に居ていいかな…。

 …ずっとさ、駄目なパパだったけどさ…。これからは汐のために頑張るから…

 だから、傍に居てもいいかな…」



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「うん、いてほしい」

「ほんとか」

「うん」



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「…でも、きょうは、たいせつなものなくしたから、かなしい」



「パパ」



「…もう、ね。がまんしなくていい?」



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「…さなえさんが、いってた」



「泣いていいのは、おトイレか」



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「パパのむねのなかだって…」



「っ…うん……うんっ」



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泣いていいのは、おトイレか、朋也の胸の中か、どちらかだけ。
これまでは泣きたいことがあっても、ひとりぼっちで泣いていた汐。

朋也はそんな汐を見て、思って、胸にくる色々な感情を抱いて、
そうして、そんな全部の思いと一緒に…



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「うっ…うぅっ……」




「うえぇっ…うえぇええっ……」



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「うええぇぇんっ…うえぇええええぇぇんっ……」



「ごめん……ごめんっ……」



わんわんと朋也の胸の中で泣く汐。
そんな汐に謝りながら、優しく頭を抱き汐を受け止める朋也。

かつてこの広い花畑に居た父と子。
かつて手を繋いで歩んでいった直幸と朋也。

そして、今は父親も母親も居なかった小さな小さな女の子が、
かつて手を繋いでいった子の朋也と、夕暮れの中でようやく親子になっていった……



……






「汐、ママの話、聞きたいか?」

「…うん」


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「ママはな、いつだって、泣いてるような奴だった

 出会ったときもさ、自信がなくて、弱くて…学校の坂の下でずっと立ってたんだ」



それは、朋也が初めて渚と出会ったあの時の坂の下。
そして、それは初めて汐が耳にする、渚という母の記憶。


「ママはな、いつだって、泣いてるような奴だった

 出会ったときもさ、自信がなくて、弱くて…学校の坂の下でずっと立ち尽くしてたんだ」

 だな、その坂の下で、なんて言ってたと思う?

 目つぶって、あんパンっ、だって。それがママの癖だったんだ」



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「食べたいものを声に出して、それで勇気を奮い立たせる…

 早苗さんはその頃すごく仕事が忙しくて弁当を作ってやる時間が無かったらしい。

 無理すればなんとかなったかもしれないだけど、ママが遠慮してたんだ。

 そういう人だったんだよ、ママは」




「それで……」



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「…それで……。は、ははっ。えーと……」



「それでな……ママは……ママは……」



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「………渚……なぎさぁっ」



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「パパぁ…」


渚のことを思い出し泣いてしまう朋也。
そんな朋也の服を引っ張り、一緒に泣いている汐。

朋也はそんな小さな汐の思いを力に、泣いている汐の涙を拭いてやり、
泣きながら、でも笑いながら、渚のことを汐に話し続ける…



 ――渚。ようやく見つけたよ。やっと見つけたんだ



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 ――俺にしか、守れないもの



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 ――俺にしか守れない、かけがえのないものを…



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 ――――それは





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 ここにあった―――






...つづく






■18話を終えて


とりあえず一言。
レビューを書くたび巻き戻しては見て巻き戻しては見てるせいで、


何度も何度も泣いてしまうのは私だけでしょうか?


史乃から聞いた朋也の父、直幸がどんな思いで朋也を育ててくれたのかということ。
そんな直幸がどんな辛い出来事の中、朋也を守ってくれていたのかということ。

汐の無くしてしまったロボット。朋也から初めて買ってもらったたった一つのロボット。
泣きたいのに我慢する。泣きたいときはトイレの中だけ。
でも、ようやく朋也が一緒に居て欲しいと願い、寂しい思いをしないで済むようになったこと。

これまで我慢してきたこと。泣きたいのに泣けなかったこと。
寂しい思いをしていたのに泣かなかったこと。

それを、精一杯に朋也の腕の中で泣いたこと。

汐と一緒に居ると誓った朋也が語る渚のこと。
出逢ったときの坂の下での出来事。

そして、渚を失ってしまい絶望してしまった朋也の涙のこと。
そんな朋也の涙と思いを受け止め一緒に泣く汐のこと…


家族という間柄。絆という思いの糸。
朋也のこれまでが今話で一番輝き、癒された回なのだと私は思います。
渚を失ってしまった悲しみ。でも、父親である直幸やその母である史乃。
そして、朋也の大切なもの。守りたいと願う小さな小さな汐の存在。

今話はそんな、思い思いの人間がひとつの家族となった瞬間の回。
なんだか涙を流しすぎてすっきりしたのかしてないのかよく分からなくなりました(苦笑

ともあれ、前話や今話の冒頭で朋也につらく当てられていた汐の幸せそうな笑顔を見れて、
本当に、本当に良かったと、心から思います。


ぁ、でもちょっとだけ心残りは、
最後の電車のシーンで原作だと汐がトイレにいくのですが、
その際に、

「ひとりでできた」

「そうか。えらいな、汐は」

と、汐がひとりでトイレにいけたことを朋也が褒めるシーンが無かったのが残念無念。
是非次週の回での冒頭では古河家に帰る前にやってほしいコマであります。



結論:今話はCLANANDという物語の中で最高の永久保存版です(笑




余談ですが、最後のEDにて史乃さんが最後尾に追加されました。

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~次回予告~


CLANNAD -AFTER STORY- 第19回 「家路」


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朋也&汐「ただいまー」

早苗「おかえりなさい」

秋生「へっ、死んだ魚みたいな目をしてたやつが復活してるじゃねぇか」


二人きりの旅行から、二人一緒になって古河家へと帰る朋也と汐。
そんな二人を笑顔で迎える早苗。
顔を合わせていなかった秋生とも会い、ようやくいつもの古河家に。

そして、旅行で史乃と約束した朋也の父、直幸への言伝。
次回の「家路」は直幸が故郷へと帰る家路でもあり、
朋也が出て行った直幸との家に帰ってきた、そんな家路でもあるわけで。

たぶん次回も朋也と直幸との間で私は泣くと思いますので、
みなさんも泣く準備を備えて挑んでくださいね(苦笑



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  • 2009.02.17 (Tue) 13:53 | のらりんクロッキー
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  • 2009.02.13 (Fri) 21:18 | 空色きゃんでぃ