(アニメレビュー) CLANNAD -AFTER STORY- 第16回
CLANNAD -AFTER STORY- 第16回 「白い闇」



少女「また、ガラクタを拾ってきたの?――すごく冷たくなってる、何もできなくて、ごめんね」
冬の冷たい雪が降る中、ガラクタを集めては積み上げるボク。
そんなボクを静かに見つめ一緒に居たいと願う少女。
少女「――傍に居て欲しいよ。ねぇ、ずっと傍に居よう?」
――だからこそ、ボクは行かなければならない。これから先もずっと二人で居られるように
この世界から抜け出すための空を飛ぶ機械を作るボク。
だがしかし彼には作り出すことはできず、ただガラクタを積み上げることしかできなかった。
そんなボクを静かに見つめただひたすら一緒に居たいと願う少女。
だけど、二人でこれからもずっと一緒に居るために、ボクはガラクタを集め積み上げていく。
それが何にもならず、何も作る出すことができずに居ると分かっても…
▼続きより詳細レビュー
CLANNAD -AFTER STORY- 第16回 「白い闇」
アフターストーリー16回目。
アバンタイトルでは幻想世界の少女とボク。
雪が降る寒い中でひたすらガラクタを積み上げるボクと、
そんなボクとただひたすら一緒に居たいと願う少女。
少女はただ傍に居て欲しいと願うものの、
ボクはそんな少女とこれから先もずっと一緒に居るために、
それが無駄だと分かりながらもガラクタをただただ積み上げていく。
そんなボクと少女の世界「幻想世界」と、
朋也や渚の居る「現実世界」が今話では色々な場面でリンクしています。
――もうひとつの世界。
それは今話で朋也たち二人のアパートに訪ねてきたことみが言っていたことなのですが、
現実世界ともうひとつの世界は深く繋がりあっているということでした。
今までも要所要所で幻想世界とリンクしてきた現実世界。
今話でもそれが顕著に出ており、物語が佳境に入ってきたということを物語っていました。
特に今話は朋也の中での葛藤と、幻想世界の繋がりが目に見えて表れ、
どれほど深く関係があるのか判明してきた回でもありました。
今話はそんなアフターという物語の中で一番辛い通過点。
現実と過去。出会った幸せと出遭ってしまった事実。
坂の下で頑張ろうと願い、誓い、そして頑張ってきた二人に訪れた、幸福と絶望。
冬になり、渚のお腹もだいぶ大きくなり出産間近となったとある雪の日。
雪の降る、二人で一緒に居ようと願うボクと少女の幻想世界。
リンクした二つの世界。
朋也は、渚はどうなるのか。
そして、懸命にもがくボクと少女はどうなっていくのか。
アフターストーリー16回目。白い闇に囚われてしまった「二人」。
ハンカチとティッシュを用意し、以下のレビューをどうぞ。
◇ ◆ ◇
渚「行ってらっしゃいです朋也くん。しおちゃん、お見送りです」




岡崎朋也、渚、そして汐と表札には名前が付け加えられ、
朋也と渚が暮らす部屋には赤ちゃん用のおむつなどが沢山買われ、置かれており、
朋也が出かける時には大きなお腹の中の汐と共に見送りをする、そんな毎日だった。
昼間には早苗も一緒に居てくれるようになり、秋生もしょっちゅう訪れる。
そうして渚が無事に産めるように皆で協力し、助け合ってきていた。
そんなとある夜。

朋也「もしかしたら早苗さんは俺を恨んでいるんじゃないか、そんな風に思う時があります」
様子を見に来てくれている早苗を送るとある夜。
朋也は自分のこれまでと、考えていたことを早苗に話し始まる。
それは学園の坂の下で立ち止まっていた渚と出会い、
何事にも弱かった渚を変えてしまった朋也の話。
今では強く、赤ちゃんを必死になって産もうとする渚にしてしまったこと。
そんな渚と出会わなければ、今では違う人生を歩んでいたんじゃないか、と。
朋也「俺と出会わなければあいつは今でも家に居てそれなりに幸せでだったのかもしれない」
早苗「そんなことありませんよ。秋生さんも私も朋也さんには感謝しているんです」
赤ちゃんを産めば渚自身に危険が及ぶ。そんな現実に直面したせいかそんなことを話す朋也。
しかし、そんな朋也の叫びは早苗にやんわりと否定され、感謝しているのだと言う早苗。
◇-----


そんな朋也の苦悩を描くかのように、幻想世界ではボクがガラクタを積み上げていた。
この世界から抜け出すための空を飛ぶ機械を作るために。
しかし、ボクはガラクタを積み上げることしかできず、
ただただ積み上げては崩れ、積み上げては崩れ。そんな作業の繰り返しだった…。
-----◇




ボクがガラクタを積み上げる姿を静かに見つめる少女。
そんな少女の姿にリンクするかのように、現実世界でも静かに時間が経っていった。
季節はもう年末間近。クリスマスの季節。
そしてそれは、クリスマスと同時に渚の誕生日でもあった。


渚の誕生日には新しいだんご大家族のぬいぐるみ。
本当は皆一緒に抱いてあげたい渚だったが、
全部一緒には抱けないということで、残りの二つを朋也が抱くことに。
朋也「――渚の、匂いがする」
二つのぬいぐるみを渡され困惑気味の朋也だったが、
抱いたぬいぐるみからは渚の匂い。
ぬいぐるみを抱いた朋也は、いつしか目を閉じ、ぬいぐるみへと顔を埋めていった。
そうした日々を過ごしていった朋也と渚。
静かに時が過ぎていった年末。そして訪れた年始。






そんな年始に集まってきたかつての仲間たち。
春原をはじめ、杏や椋。そしてアメリカ留学をしていたことみも帰国し、
渚の卒業式以来の賑やかな同窓会となった。
またその場に来れなかった智代や有紀寧、
仁科や杉坂からの年賀状も来ていたり、
芳野がインディーズで再び活動を再開し出したCD「Love&Spanner」の話題になるなど、
朋也たちの話題は尽きず盛り上がっていた。
そんな時、

陽平「岡崎、父親になるってどんな気分だ?僕はさ、親になるなんてまだ先の話だと思ってたんだ。
でもさ、お前らがそうなるって聞いていきなり身近なことに思えてきたんだよ。
父親になんて好きでなるものじゃないと思うんだよ。地震とか雷とか天災みたいのだと思ってる。
だから、どんな気分でそうしてるのか気になるんだよ」
父親になる。子供を持つ。そんな遠い出来事と思っていたものが身近に感じた春原。
そして、今その境遇にある朋也がどんな気分なのか知りたい、そう質問する。
そんな春原の言葉に朋也は答える、「分からない」と。
朋也「まだ実感だってあるんだか無いんだか分からない。ただ好きな人が出来て、
そいつのために生きていたらこうなった。それだけだよ」
そんな漠然とした気分、成るべくして成ったと答える朋也の言葉に、
春原は真面目な顔を一転し、笑って答える。
親になり変ってしまい遠くにいったかのように思えた『朋也は何にも変ってない』と。
そんな春原の言葉に賛同するかのように杏や椋も不安だった気持ち、
そして子供が生まれるという現実を感慨深く語り合っていく。
そうした中、海外で両親の仕事を引き継ぎ勉強していたことみ。
それは今あるこの世界の「となりにある世界」のこと。

ことみ「この世界のとなりにあって、でも見ることも感じることもできない世界。
でもね、以外とそうじゃないってことが分かってきたの。
時間や空間や人の意識が不思議な形で響きあって両方の世界を作り変えたり、
新しい世界を作り影響しあっているのかもしれない」
隠された世界。となりにある世界。この世界と影響しあっている世界。
変り続ける街。変っていく人。でも変りはしない人の気持ちや心。
そうした世界は本当に不思議でいっぱいだと、ことみは語っていく。
――そんな、隠された世界を、朋也は幻視する。




終わってしまった世界。渚が演じた少女の世界。
唐突に思い出したあの時を思い浮かべ、朋也は疑問に思う。
「なぜあの物語を知っていたのか」と。
しかし自分が暗い表情を浮かべていることに気付いた渚に気取られないよう、
朋也は話を逸らすように「となりの世界はどんな世界なのか」と疑問を述べる。
それはことみ曰く「隠された世界はひとつだけじゃなく色んな世界が沢山ある」。
そして占いをやっていた椋曰く「可能性はひとつじゃなく色んな可能性がある」と。
世界はひとつだけでなく色々な世界があり、
また未来はひとつではなく様々な可能性がある、そんな風に。
ことみの話から始まった「となりにある世界」。
それはいくつもの可能性を秘めた隠された世界が沢山あるということだった――。
◇――




――ボクには、何かを作り出すことができない。出来るのはガラクタを積み重ねることだけ。
どんなに努力しても無駄だった。
ボクはいつしか、作業をやめていた…
――◇
冬の冷たい雪が降り注ぐ中、空を飛ぶ機械の横でガラクタを積み重ねるボク。
しかしそれは努力も空しく、ただ積み重ねるだけで何かを作り出すことは出来なかった。
そんな「作り出すことの出来ない」ボクとリンクする早苗パン。
それは、春の訪れを願うひとつのパン。
『町と人に幸あれ 奇跡が訪れますように』と、
そんな願いが篭もったひとつのパンだった。


しかし、そんな春の訪れを前に、かつて渚を救った奇跡の場所は着々と工事が進み、
隣町に行かなければ無いような大きな病院が建つようになっていく。
町は変っていく、何もかも変らずにはいられない。
そんな風に秋生は言う。
そんな奇跡の場所に病院が建つことに不安と不満を募らせる朋也だったが、
変っていく町の風景を止められない現実をなんとか少しでも残そうと、
「何本か木を残してもらうことになった」と秋生は関係者と掛け合っていた。
町は変っても、人が変っても、何かが残ると信じて――。
しかし、そんな夜…




大雪と共に町が沈黙する中、渚は熱を出し陣痛が始まってしまう。
それは、予定より2週間ほど早い出産となってしまった――
-----
ここでAパート終了。
大雪が降り注ぐ町の中で早まる出産。白く多い尽くすほどの雪と共に来てしまう渚の持病。
苦しみだす渚の隣で懸命に呼びかける朋也。
――それは、何も出来ないもうひとつの世界を現しているかのよう。
現実世界と隠された世界。
となりにある世界と様々な未来の可能性。
抜け出すことの出来ない冬の冷たい世界。
一緒に居たいと願い二人しかいない世界を抜け出したいと願うものの、
冬の冷たい雪と共に何も出来ないボク。
町を覆いつくすほどの雪と共に訪れてしまった早産。
ずっと一緒に居ようと約束した朋也と渚。
しかしそれは、ただただ見守ることしか出来ない「今の世界」。
白い闇。それはこの世界ととなりにある世界の共通の認識。
苦しみ出した渚はどうなるのか。
ずっと一緒に居ようと願う少女はどうなっていくのか。
傍に居ることしか出来ない朋也。
傍に居ることをせずただただガラクタを積み上げることしか出来ないボク。
冷たく白い雪が覆う中でどうなってしまうのか。
後半はそんな悲しい世界の訪れ。
世界は悲しい色で彩られていた、そんな世界の訪れ。
ハンカチとティッシュを用意して、どうぞ以下より後半をどうぞ――。
-----


陣痛で苦しみ、朋也の手を強く握る渚。
朋也はそんな渚に必死に呼びかけ励ます。
そんな二人の下に駆けつけた秋生や早苗、そして助産士の八木。
朋也「渚っ大丈夫だからなっ。汐と三人で新しい生活始めようなっ」
そうやって朋也は手を握りながら渚を励ます。
渚も時たま陣痛が収まった時には弱弱しくも言葉を紡ぐ。
「無事に産んで三人で暮らしたい」と…。
しかし、その後は酷い陣痛のためか渚は意識を何度も失い、
そしてまた痛みで目を覚ますという、苦しく辛い現実が待ち受けていた。


そんな途方も無い現実と絶望のためか、
心が耐えられず目の前の事実を受け止められないほどに心が磨り減っていた。
渚の手を握りながら、必死になって名前を呼び、泣きそうになりながらも励まし、
自分と渚と、そして生まれてくる汐と三人で暮らせる未来を願いながら――
―――そして


小さな光と共に産声が聞こえた。
絶望した暗い世界の中に差し込んだ光と声。
それは漸く訪れた、小さな小さな汐だった――。


朋也「見えるか渚っ。俺たちの子だ。最初に抱いたよ俺っ」
渚「――は、い。かわいい、です」
朋也「女の子だ。元気な女の子だぞっ」
渚「はい――。おうちで産んであげられてよかった、です」
――だけど、すこし疲れてしまいました
ちょっとだけ、休ませてください――


朋也「待ってくれよ渚っ。もう少し、話をしようっ。聞いてくれるだけでいいからっ」
渚「――――は、い」
朋也「ほらっ俺たちの子だ。サルみたいな顔だよな。すげえ小さい。
呼んでみるからな俺。 ――うしお」


朋也「パパだぞ汐っ。こっちがママだ。ははっ。無視された。分かる訳ないよな。」
きっとすぐ大きくなってさ、小学校に入って、俺とお前が付き添って、授業参観とか運動会とかさっ、
俺そんなこと一番馬鹿にするヤツだったのになっ」
――渚?


――ぁ、渚っ! ずっと傍に居てくれるって言ったよな?
ずっと一緒だって
何度もそう、何度も約束したよなっ

それが夢なんだっ
生きてたっていい事なんて何もないっ
クソ面白くもない人生だってそう思ってたヤツが
やっと見つけた夢なんだっ
――なぁ、渚ぁ、渚ぁ!


――この学校は好きですか?
私はとってもとっても好きです
でも、何もかも変らずにはいられないです
楽しいこととか嬉しいこととか全部、変らずにはいられないです

それでも、この場所が好きでいられますか?


――ぁ…くっ。
…出会わなければ良かった。このまま別々の道を歩いていけば良かった
俺は渚と付き合わず、渚と結婚もしない
――そして、汐も生まれない
そうすれば、こんな悲しみは生まれなかったのにっ


――出会わなければ、良かった
■16話を終わってみて
涙の別れ。悲しい結末を前にして思ったことは坂の下で出会わなければ良かったという後悔。
作中で早苗に語っていたことを、最後にして重く圧し掛かってきた渚との出会いと現実。
アフターストーリーのひとつの結末は、渚との別れと汐の誕生でした。
ほぼ原作通りに進んでいった朋也と渚の物語ですが、
それはずっと一緒に居るという約束を果たせない最後となってしまいます。
そうして思い願ったのは渚と出会っても声をかけないということ。
あの坂の下で出会わなければ、
声をかけなければ、
恋人にならなければ、
結婚しなければ、
そして、汐を産んでいなければ、と…。
そんな一つの結末が終わったかのように、
最後のシーンでは「AFTER STORY」という表記が無いロゴが出てきました。

アフターというひとつの結末を向かえたということを指してか、
ひとつの物語が終わったということを表現してなのか、
この物語も漸く始まったあの時に帰る時が来たようです。
世界の終わりは 悲しい色で 満ちていた
~次回予告~
CLANNAD -AFTER STORY- 第17回 「夏時間」





うぁ、最後の予告画がとてつもなく胸に来るんですけどっ 。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
溜まった手紙や広告。破かれたポストの表札。
台所は食器で溢れ、部屋は暗くゴミも溜まっている。
そんな夏のとある日。
落ちて壊れているオモチャ。
それが何を物語っているか…は、
来週をお楽しみに…。
しおちゃんっ。・゚・(ノД`)・゚・。



少女「また、ガラクタを拾ってきたの?――すごく冷たくなってる、何もできなくて、ごめんね」
冬の冷たい雪が降る中、ガラクタを集めては積み上げるボク。
そんなボクを静かに見つめ一緒に居たいと願う少女。
少女「――傍に居て欲しいよ。ねぇ、ずっと傍に居よう?」
――だからこそ、ボクは行かなければならない。これから先もずっと二人で居られるように
この世界から抜け出すための空を飛ぶ機械を作るボク。
だがしかし彼には作り出すことはできず、ただガラクタを積み上げることしかできなかった。
そんなボクを静かに見つめただひたすら一緒に居たいと願う少女。
だけど、二人でこれからもずっと一緒に居るために、ボクはガラクタを集め積み上げていく。
それが何にもならず、何も作る出すことができずに居ると分かっても…
▼続きより詳細レビュー
CLANNAD -AFTER STORY- 第16回 「白い闇」
アフターストーリー16回目。
アバンタイトルでは幻想世界の少女とボク。
雪が降る寒い中でひたすらガラクタを積み上げるボクと、
そんなボクとただひたすら一緒に居たいと願う少女。
少女はただ傍に居て欲しいと願うものの、
ボクはそんな少女とこれから先もずっと一緒に居るために、
それが無駄だと分かりながらもガラクタをただただ積み上げていく。
そんなボクと少女の世界「幻想世界」と、
朋也や渚の居る「現実世界」が今話では色々な場面でリンクしています。
――もうひとつの世界。
それは今話で朋也たち二人のアパートに訪ねてきたことみが言っていたことなのですが、
現実世界ともうひとつの世界は深く繋がりあっているということでした。
今までも要所要所で幻想世界とリンクしてきた現実世界。
今話でもそれが顕著に出ており、物語が佳境に入ってきたということを物語っていました。
特に今話は朋也の中での葛藤と、幻想世界の繋がりが目に見えて表れ、
どれほど深く関係があるのか判明してきた回でもありました。
今話はそんなアフターという物語の中で一番辛い通過点。
現実と過去。出会った幸せと出遭ってしまった事実。
坂の下で頑張ろうと願い、誓い、そして頑張ってきた二人に訪れた、幸福と絶望。
冬になり、渚のお腹もだいぶ大きくなり出産間近となったとある雪の日。
雪の降る、二人で一緒に居ようと願うボクと少女の幻想世界。
リンクした二つの世界。
朋也は、渚はどうなるのか。
そして、懸命にもがくボクと少女はどうなっていくのか。
アフターストーリー16回目。白い闇に囚われてしまった「二人」。
ハンカチとティッシュを用意し、以下のレビューをどうぞ。
◇ ◆ ◇
渚「行ってらっしゃいです朋也くん。しおちゃん、お見送りです」




岡崎朋也、渚、そして汐と表札には名前が付け加えられ、
朋也と渚が暮らす部屋には赤ちゃん用のおむつなどが沢山買われ、置かれており、
朋也が出かける時には大きなお腹の中の汐と共に見送りをする、そんな毎日だった。
昼間には早苗も一緒に居てくれるようになり、秋生もしょっちゅう訪れる。
そうして渚が無事に産めるように皆で協力し、助け合ってきていた。
そんなとある夜。

朋也「もしかしたら早苗さんは俺を恨んでいるんじゃないか、そんな風に思う時があります」
様子を見に来てくれている早苗を送るとある夜。
朋也は自分のこれまでと、考えていたことを早苗に話し始まる。
それは学園の坂の下で立ち止まっていた渚と出会い、
何事にも弱かった渚を変えてしまった朋也の話。
今では強く、赤ちゃんを必死になって産もうとする渚にしてしまったこと。
そんな渚と出会わなければ、今では違う人生を歩んでいたんじゃないか、と。
朋也「俺と出会わなければあいつは今でも家に居てそれなりに幸せでだったのかもしれない」
早苗「そんなことありませんよ。秋生さんも私も朋也さんには感謝しているんです」
赤ちゃんを産めば渚自身に危険が及ぶ。そんな現実に直面したせいかそんなことを話す朋也。
しかし、そんな朋也の叫びは早苗にやんわりと否定され、感謝しているのだと言う早苗。
◇-----


そんな朋也の苦悩を描くかのように、幻想世界ではボクがガラクタを積み上げていた。
この世界から抜け出すための空を飛ぶ機械を作るために。
しかし、ボクはガラクタを積み上げることしかできず、
ただただ積み上げては崩れ、積み上げては崩れ。そんな作業の繰り返しだった…。
-----◇




ボクがガラクタを積み上げる姿を静かに見つめる少女。
そんな少女の姿にリンクするかのように、現実世界でも静かに時間が経っていった。
季節はもう年末間近。クリスマスの季節。
そしてそれは、クリスマスと同時に渚の誕生日でもあった。


渚の誕生日には新しいだんご大家族のぬいぐるみ。
本当は皆一緒に抱いてあげたい渚だったが、
全部一緒には抱けないということで、残りの二つを朋也が抱くことに。
朋也「――渚の、匂いがする」
二つのぬいぐるみを渡され困惑気味の朋也だったが、
抱いたぬいぐるみからは渚の匂い。
ぬいぐるみを抱いた朋也は、いつしか目を閉じ、ぬいぐるみへと顔を埋めていった。
そうした日々を過ごしていった朋也と渚。
静かに時が過ぎていった年末。そして訪れた年始。






そんな年始に集まってきたかつての仲間たち。
春原をはじめ、杏や椋。そしてアメリカ留学をしていたことみも帰国し、
渚の卒業式以来の賑やかな同窓会となった。
またその場に来れなかった智代や有紀寧、
仁科や杉坂からの年賀状も来ていたり、
芳野がインディーズで再び活動を再開し出したCD「Love&Spanner」の話題になるなど、
朋也たちの話題は尽きず盛り上がっていた。
そんな時、

陽平「岡崎、父親になるってどんな気分だ?僕はさ、親になるなんてまだ先の話だと思ってたんだ。
でもさ、お前らがそうなるって聞いていきなり身近なことに思えてきたんだよ。
父親になんて好きでなるものじゃないと思うんだよ。地震とか雷とか天災みたいのだと思ってる。
だから、どんな気分でそうしてるのか気になるんだよ」
父親になる。子供を持つ。そんな遠い出来事と思っていたものが身近に感じた春原。
そして、今その境遇にある朋也がどんな気分なのか知りたい、そう質問する。
そんな春原の言葉に朋也は答える、「分からない」と。
朋也「まだ実感だってあるんだか無いんだか分からない。ただ好きな人が出来て、
そいつのために生きていたらこうなった。それだけだよ」
そんな漠然とした気分、成るべくして成ったと答える朋也の言葉に、
春原は真面目な顔を一転し、笑って答える。
親になり変ってしまい遠くにいったかのように思えた『朋也は何にも変ってない』と。
そんな春原の言葉に賛同するかのように杏や椋も不安だった気持ち、
そして子供が生まれるという現実を感慨深く語り合っていく。
そうした中、海外で両親の仕事を引き継ぎ勉強していたことみ。
それは今あるこの世界の「となりにある世界」のこと。

ことみ「この世界のとなりにあって、でも見ることも感じることもできない世界。
でもね、以外とそうじゃないってことが分かってきたの。
時間や空間や人の意識が不思議な形で響きあって両方の世界を作り変えたり、
新しい世界を作り影響しあっているのかもしれない」
隠された世界。となりにある世界。この世界と影響しあっている世界。
変り続ける街。変っていく人。でも変りはしない人の気持ちや心。
そうした世界は本当に不思議でいっぱいだと、ことみは語っていく。
――そんな、隠された世界を、朋也は幻視する。




終わってしまった世界。渚が演じた少女の世界。
唐突に思い出したあの時を思い浮かべ、朋也は疑問に思う。
「なぜあの物語を知っていたのか」と。
しかし自分が暗い表情を浮かべていることに気付いた渚に気取られないよう、
朋也は話を逸らすように「となりの世界はどんな世界なのか」と疑問を述べる。
それはことみ曰く「隠された世界はひとつだけじゃなく色んな世界が沢山ある」。
そして占いをやっていた椋曰く「可能性はひとつじゃなく色んな可能性がある」と。
世界はひとつだけでなく色々な世界があり、
また未来はひとつではなく様々な可能性がある、そんな風に。
ことみの話から始まった「となりにある世界」。
それはいくつもの可能性を秘めた隠された世界が沢山あるということだった――。
◇――




――ボクには、何かを作り出すことができない。出来るのはガラクタを積み重ねることだけ。
どんなに努力しても無駄だった。
ボクはいつしか、作業をやめていた…
――◇
冬の冷たい雪が降り注ぐ中、空を飛ぶ機械の横でガラクタを積み重ねるボク。
しかしそれは努力も空しく、ただ積み重ねるだけで何かを作り出すことは出来なかった。
そんな「作り出すことの出来ない」ボクとリンクする早苗パン。
それは、春の訪れを願うひとつのパン。
『町と人に幸あれ 奇跡が訪れますように』と、
そんな願いが篭もったひとつのパンだった。


しかし、そんな春の訪れを前に、かつて渚を救った奇跡の場所は着々と工事が進み、
隣町に行かなければ無いような大きな病院が建つようになっていく。
町は変っていく、何もかも変らずにはいられない。
そんな風に秋生は言う。
そんな奇跡の場所に病院が建つことに不安と不満を募らせる朋也だったが、
変っていく町の風景を止められない現実をなんとか少しでも残そうと、
「何本か木を残してもらうことになった」と秋生は関係者と掛け合っていた。
町は変っても、人が変っても、何かが残ると信じて――。
しかし、そんな夜…




大雪と共に町が沈黙する中、渚は熱を出し陣痛が始まってしまう。
それは、予定より2週間ほど早い出産となってしまった――
-----
ここでAパート終了。
大雪が降り注ぐ町の中で早まる出産。白く多い尽くすほどの雪と共に来てしまう渚の持病。
苦しみだす渚の隣で懸命に呼びかける朋也。
――それは、何も出来ないもうひとつの世界を現しているかのよう。
現実世界と隠された世界。
となりにある世界と様々な未来の可能性。
抜け出すことの出来ない冬の冷たい世界。
一緒に居たいと願い二人しかいない世界を抜け出したいと願うものの、
冬の冷たい雪と共に何も出来ないボク。
町を覆いつくすほどの雪と共に訪れてしまった早産。
ずっと一緒に居ようと約束した朋也と渚。
しかしそれは、ただただ見守ることしか出来ない「今の世界」。
白い闇。それはこの世界ととなりにある世界の共通の認識。
苦しみ出した渚はどうなるのか。
ずっと一緒に居ようと願う少女はどうなっていくのか。
傍に居ることしか出来ない朋也。
傍に居ることをせずただただガラクタを積み上げることしか出来ないボク。
冷たく白い雪が覆う中でどうなってしまうのか。
後半はそんな悲しい世界の訪れ。
世界は悲しい色で彩られていた、そんな世界の訪れ。
ハンカチとティッシュを用意して、どうぞ以下より後半をどうぞ――。
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陣痛で苦しみ、朋也の手を強く握る渚。
朋也はそんな渚に必死に呼びかけ励ます。
そんな二人の下に駆けつけた秋生や早苗、そして助産士の八木。
朋也「渚っ大丈夫だからなっ。汐と三人で新しい生活始めようなっ」
そうやって朋也は手を握りながら渚を励ます。
渚も時たま陣痛が収まった時には弱弱しくも言葉を紡ぐ。
「無事に産んで三人で暮らしたい」と…。
しかし、その後は酷い陣痛のためか渚は意識を何度も失い、
そしてまた痛みで目を覚ますという、苦しく辛い現実が待ち受けていた。


そんな途方も無い現実と絶望のためか、
心が耐えられず目の前の事実を受け止められないほどに心が磨り減っていた。
渚の手を握りながら、必死になって名前を呼び、泣きそうになりながらも励まし、
自分と渚と、そして生まれてくる汐と三人で暮らせる未来を願いながら――
―――そして


小さな光と共に産声が聞こえた。
絶望した暗い世界の中に差し込んだ光と声。
それは漸く訪れた、小さな小さな汐だった――。


朋也「見えるか渚っ。俺たちの子だ。最初に抱いたよ俺っ」
渚「――は、い。かわいい、です」
朋也「女の子だ。元気な女の子だぞっ」
渚「はい――。おうちで産んであげられてよかった、です」
――だけど、すこし疲れてしまいました
ちょっとだけ、休ませてください――


朋也「待ってくれよ渚っ。もう少し、話をしようっ。聞いてくれるだけでいいからっ」
渚「――――は、い」
朋也「ほらっ俺たちの子だ。サルみたいな顔だよな。すげえ小さい。
呼んでみるからな俺。 ――うしお」


朋也「パパだぞ汐っ。こっちがママだ。ははっ。無視された。分かる訳ないよな。」
きっとすぐ大きくなってさ、小学校に入って、俺とお前が付き添って、授業参観とか運動会とかさっ、
俺そんなこと一番馬鹿にするヤツだったのになっ」
――渚?


――ぁ、渚っ! ずっと傍に居てくれるって言ったよな?
ずっと一緒だって
何度もそう、何度も約束したよなっ

それが夢なんだっ
生きてたっていい事なんて何もないっ
クソ面白くもない人生だってそう思ってたヤツが
やっと見つけた夢なんだっ
――なぁ、渚ぁ、渚ぁ!


――この学校は好きですか?
私はとってもとっても好きです
でも、何もかも変らずにはいられないです
楽しいこととか嬉しいこととか全部、変らずにはいられないです

それでも、この場所が好きでいられますか?


――ぁ…くっ。
…出会わなければ良かった。このまま別々の道を歩いていけば良かった
俺は渚と付き合わず、渚と結婚もしない
――そして、汐も生まれない
そうすれば、こんな悲しみは生まれなかったのにっ


――出会わなければ、良かった
■16話を終わってみて
涙の別れ。悲しい結末を前にして思ったことは坂の下で出会わなければ良かったという後悔。
作中で早苗に語っていたことを、最後にして重く圧し掛かってきた渚との出会いと現実。
アフターストーリーのひとつの結末は、渚との別れと汐の誕生でした。
ほぼ原作通りに進んでいった朋也と渚の物語ですが、
それはずっと一緒に居るという約束を果たせない最後となってしまいます。
そうして思い願ったのは渚と出会っても声をかけないということ。
あの坂の下で出会わなければ、
声をかけなければ、
恋人にならなければ、
結婚しなければ、
そして、汐を産んでいなければ、と…。
そんな一つの結末が終わったかのように、
最後のシーンでは「AFTER STORY」という表記が無いロゴが出てきました。

アフターというひとつの結末を向かえたということを指してか、
ひとつの物語が終わったということを表現してなのか、
この物語も漸く始まったあの時に帰る時が来たようです。
世界の終わりは 悲しい色で 満ちていた
~次回予告~
CLANNAD -AFTER STORY- 第17回 「夏時間」





うぁ、最後の予告画がとてつもなく胸に来るんですけどっ 。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
溜まった手紙や広告。破かれたポストの表札。
台所は食器で溢れ、部屋は暗くゴミも溜まっている。
そんな夏のとある日。
落ちて壊れているオモチャ。
それが何を物語っているか…は、
来週をお楽しみに…。
しおちゃんっ。・゚・(ノД`)・゚・。
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